不屈の精神で、はい上がる。楽天田中将大投手(35)が21日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉に臨んだ。昨季の年俸4億7500万円から減額制限(年俸1億円以上は40%)を超える約45%ダウンの年俸2億6000万円プラス出来高、単年契約でサインした。21年の楽天復帰後は3年間で計20勝32敗で、ここ2年では、計6億4000万円の減俸額となった。復活へ向け、昨年10月に右肘のクリーニング手術を敢行。まずは開幕に照準を合わせ、あと3勝に迫る日米通算200勝を目指していく。

   ◇   ◇   ◇

2年連続の「越年更改」を終えた田中将は、自らに言い聞かせるように力強く言葉を紡いだ。「結果も残せてないですし、世間でいろいろと言われていることも分かっていますけど、自分の中ではまだできると思っています」。昨季は24試合で7勝11敗、防御率4・91と振るわず、楽天に復帰してからの3年間は計20勝。「どん底」と表現するほど苦しむが、このまま屈するわけにはいかない。

ヤンキースから古巣に帰ってきた21年と22年は日本球界史上最高額の年俸9億円を誇ったが、昨季は4億7500万円で更改。今オフも2億6000万円と再びの減俸となった。ただ、逆境をバネにしてきたのが田中将の野球人生だ。

駒大苫小牧(南北海道)時代の06年夏の甲子園。決勝再試合の末に斎藤佑樹を擁する早実(西東京)に敗れるも、同年ドラフト1位で楽天に入団し、その翌年に新人王を獲得した。東日本大震災から2年後の13年には24勝0敗で、球団史上初のリーグ優勝と日本一に導き、東北に笑顔を届け、メジャーへの扉を開いた。

再び、はい上がる。昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けた。経過は良好で現在は60、70メートルのスローイング、傾斜を使った立ち投げができるまでに回復している。「昨季までとは違う感触っていうのもあり、状態が戻ったときにどうなるのかなという楽しみはあります」。2月の春季キャンプは1軍スタートだが「基本的に開幕を目指してやっていくイメージです」。慌てず、1歩ずつ。キャンプ序盤でのブルペン入りを視野に入れつつも、体の状態を慎重に見極め、ブレーキをかけながら調整する。

プロ17年間、先発一本でやってきた自負がある。若手の台頭を期待しつつ、まだまだ負けられない。「ローテーションで1年間通して投げて、高いパフォーマンスを出せるように」。ここまで積み上げてきた勝利数は197。節目の「200」も目前だ。「1試合1試合、1球1球、ベストを尽くして、そこを到達できるようにとは思っています」。不死鳥のごとくよみがえる。【山田愛斗】

▼田中将が2億1500万円ダウンで契約更改。田中将は昨季も4億2500万円ダウンだったが、2億円以上のダウンを2度経験した選手は初めて。

【関連記事】楽天ニュース一覧

【楽天】田中将大45%減の2・6億円「ファンの方々には心配かけ申し訳ない」2年連続越年更改>>>>

【楽天】田中将大「条件は12月の頭ぐらいにまとまっていた」2年連続の越年更改/一問一答1>>>>

【楽天】田中将大、今オフ手術決断の背景は「邪魔だなと思うことが多くなり」/一問一答2>>>>

【楽天】田中将大「まだまだ上がる部分はある」昔と比べて自覚してるところは/一問一答3>>>>