4年後のドラフト1位を目指す。専大松戸(千葉)の最速151キロ右腕、平野大地投手(3年)が3日、東都大学野球リーグ2部の専大(神奈川県伊勢原市)に入寮。新生活をスタートした。「チームを1部に上げて、4年後はドラフト1位を目指します」と、力強く宣言した。

プロ野球選手への思いは誰よりも強い。昨年は専大松戸のエースとして春、夏の甲子園に出場。春は8強入りに貢献。夏の甲子園は3回戦進出も、不調を理由に登板せず。「右手指のしびれがある」と説明し、試合後も大学進学を表明していたが、本心は違った。「実は、プロ志望届提出締め切り(10月12日)の1週間前まで、悩みました」。大会直後の8月下旬に検査を受けた結果、右肘肘頭の疲労骨折などが判明。ケガがある状態で、プロを希望していいのか。選んだ道は大学だった。「焦らずに、ケガをしっかり治して。大学で1から練習と経験を積んでドラフト1位になる、という思いで大学を選択しました」。10月31日、約5時間に渡るトミー・ジョン手術を受けた。

投げられないエース-。昨夏は、投げられない悔しさと、周囲の期待に応えられない自分へのいら立ちとの戦いだった。「みんなが野球をやっている姿を見てうらやましかったし、自分が投げたらどうだったかな…と考えたり…」。その苦しさを、これからの野球にぶつける。「チームを勝利に導くことがエースの醍醐味(だいごみ)。でも、昨夏はそれができなかった。この先、その分、もっとやらないといけないんだよ、というメッセージなのかな、と思っています」。自分に与えられた試練と捉え、しっかりと前へ踏み出す覚悟を決めた。

現在はトレーニングとウエートを開始。来月からは肘の状態を見て、少しずつスローイングを始める予定だ。「今は全く痛みがないのがうれしい。2年秋くらいからリーグ戦で投げられるようになりたいです」と、前向きだ。

昨秋、ドラフト会議の後、千葉大会で投げ合ったロッテ4位指名の幕張総合・早坂響投手(3年)にメッセージを送った。「おめでとう。4年後、俺も行くから」。早坂からは「また投げ合おうな」と返事がきた。4年後、同じ舞台で。焦らずじっくりと突き進む先には、最高の瞬間が待っているはずだ。【保坂淑子】