楽天などでプレーした福盛和男氏(47)を父に持つ創成館(長崎)の大和投手(3年)が3日、東都大学野球リーグ2部の専大(神奈川県伊勢原市)に入寮した。「父からは、体を作って3、4年で結果を残せるように頑張れ、と送り出してもらいました」と、笑顔で話した。

家族水入らずの節分に、大学4年間の願いを込めた。入寮前夜の2日は、家族4人で1日早い豆まき。父・和男氏が、鬼のお面を被り鬼役に。「鬼は~外!福は~内!」と、妹とともに鬼を退治。「たまに、父が反撃してくるのが、痛かったです(笑い)」。かつてはMLBも経験した右腕。引退してもなお、衰えない魔球ならぬ豆球!?に父の元プロ野球選手の面影を感じた。「4年間、病気やケガなく過ごせますように」と願いを込めながらも、「僕もいつか、父のようなプロ野球選手になる」と、気持ちを新たにした。

昨夏の甲子園では創成館のエースとして3回戦進出に導いた。「でも、体も細くて技術も稚拙。しっかり4年間で力をつけてプロに入れるように、大学進学を決めました」。2年連続でドラフト1位の投手を輩出する専大の門をたたいた。

昨夏、甲子園大会後、父から言われた言葉が忘れられない。「甲子園はいいピッチングだったな」。高校3年間で、最初で最後の褒め言葉だった。「父はめったに褒めないので。うれしかったですね」。しかし、将来のある息子に、すぐに厳しい父に戻った。2人並んで、甲子園の動画を見直した。「投手はね、コントロールとボールのキレなんだよ」。一挙手一投足、丁寧にアドバイスをくれた。「父は僕の1番のコーチ。自分もプロになりたいと言っているからアドバイスをくれる。それをしっかり消化していきたい」。

翌日から、4年後の勝負が始まった。体重を増やすために食事の量を増やし、ウエートに取り組んだ。「大好き」というドジャース山本由伸のトレーニング方法を採り入れ、柔軟性を高めた。「感覚もよくなっている」と、実戦が楽しみだ。

目指すは4年後のドラフト。「楽天の岸投手のようなボールのキレとコントロールが欲しい。ベース盤で速く感じるような真っすぐと変化球を投げられるようにしたいと思っています」。そして、父を超えるプロ野球選手になる。「父はドラフト3位だった。それ以上の順位でいきたい」。親子の夢の実現へ。大和が力強く踏み出した。【保坂淑子】