3年目の進化だ! 阪神前川右京外野手(20)が19日に、フリー打撃に初登板したハビー・ゲラ投手(28=レイズ)と対戦。初球に右翼フェンス越えの1発を放つと、この日最速157キロの直球もとらえ、投手強襲打。10球中、安打性2本と、初見の助っ人右腕に素早く対応。激化する外野のレギュラー争いで、定位置奪取を強烈にアピールした。

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初モノの助っ人右腕を初球で攻略した。高卒3年目の前川がフリー打撃でゲラと対戦。初球の内角直球を振り抜いた打球は、右翼芝生席に今年から設置された防球ネット「アレネット」に直撃。6球目の157キロ直球も痛烈な投手強襲安打とした。「球速も出ていた中で捉えられたのはよかった」と手応えを隠さなかった。

初対戦投手の初球を仕留めたのには、入念な準備があった。先にフリー打撃に入ったミエセスの様子をケージ後ろからじっと見つめていた。「真っすぐが重たくて、変化球のキレも良かった。差し込まれたら終わりだと思ったので(タイミングを)早めに取った」。球の軌道を確認し、タイミングの取り方を熟考して打席に入った。

反省が生かされている。17日の楽天戦で盗塁のサインが出ていた中、初球を打ち上げて中飛。岡田監督から「野球勘とか勉強せなあかん」と厳しい指摘を受けた。前川はこれに感謝。「頭を使って野球をすることを見つめ直せた。ここからはチームのために自己犠牲だったり、チームがいい方向にいくことを実戦でやっていかないといけない。そういうところにも目を向けられている」と自らをアピールするだけでなく、チームプレーに気を配る。

前日18日の広島戦では2打数2安打1四球と打撃は好調だ。この日のゲラ打ちに、岡田監督は「打ち返しよったからな、前川な。こっちがビックリする」と驚いた。「打席の中での対応というかな、ファウルで粘ってフォアボールを選ぶとかな、内容がすごく良くなってきたよな」と成長を認めている。

左翼の守備にも取り組んでおり、筒井外野守備走塁コーチと早出特訓も行い、体を回転しながらのスローイングなどを確認した。これまでの右翼に加え、左翼も守れることで出場機会は増える。昨季1軍でデビューを果たし、一時3番を任されるなど33試合に出場した期待の若虎。「1日1日を必死に食らいついて、最終的にいい数字が残せるように頑張ります」。森下、井上、野口、小野寺、ミエセス、ノイジーらとの激化する定位置争いの中、開幕スタメンをつかみ取る。【村松万里子】

【前川右京の今キャンプ】

◆レギュラー名乗り 第1クールはサク越えなど打撃で猛アピール。岡田監督が「ボールが上がるようになった。今の状態やったら(ノイジーらより)前川とか野口の方がいいもんな」と成長を認める。

◆猛爆発進 チーム最初の実戦だった11日の紅白戦で期待通りの4安打。「明日はゼロからのスタートという気持ち」と慢心せず。

◆左翼へ 昨年はほとんど守らなかった左翼にシートチェンジ。「幅を広げるためにはありがたい」。

◆監督怒った 17日の楽天戦で一塁走者に盗塁のサインが出た状態で、初球を打ち凡退。岡田監督が「1球ストライクを見送れるのがチームに対するアピール。そういうのが分からんと1軍の戦力にはならん」とピシャリ。

◆汚名返上? 監督に怒られた翌日の広島戦(練習試合)で2安打&積極走塁見せる。打撃内容に納得しつつ「今日だけで終わらずこれからも野球の頭を身につけたい」と監督の叱咤(しった)を受け止めた。

阪神筒井外野守備走塁コーチ(左投げの前川に左翼線の打球対応を指導)「そこに行った時には(体を)回転させることで勢いもつくし、肘、肩に負担がある部分が減らせるということで特訓した。シートノック含めて、うまくこなしてると思います」