支配下昇格へのアピール弾だ! 育成3年目を迎えたソフトバンク川村友斗外野手(24)が、オープン戦1号の決勝3ランを放った。ロッテ戦に代走で出場。そのまま左翼に就き、5-5の7回1死一、二塁で迎えた打席。「チャンスで何とかしたかった。体の反応で打てた」。坂本の内角高め直球をコンパクトに振り抜き、右翼席に運んだ。ベンチ前で手荒い祝福を受け、笑みがこぼれた。

今年は野球人生1つの分岐点となる。育成入団選手は3年在籍して、そのオフまでに支配下昇格を勝ち取らなければ11月末で自動的に自由契約選手となる。「3年で1度は自由契約になる」と危機感と常に隣り合わせ。昨年もオープン戦で1軍初アーチを含む打率3割5分7厘を残したが、支配下をつかめなかった。「今年こそつかんでやる気持ちは強い」と鼻息は荒い。

1、2年目は「結果を出さないと」の重圧から空回り。ただ、今年は「もう育成3年目なので。腹くくって、だめだったらだめだと思って。結構、開き直ってます」と言う。フラットな状態を貫くことで打席で冷静さも保てる。「待っていない球、低めの球とか。落ち着いて見送れている」。心構えの変化は成績につながり、ここまで実戦12試合で23打数8安打、打率3割4分8厘、1本塁打、8打点。走攻守の3拍子でアピールを続けている。

育成の野手は仲田、緒方を含めて3人。小久保監督は「育成3人はみんな(2軍に)落とす理由がないんで。ずっとここまで連れてきている。必死でやっている姿が伝わってきますね」と評し、支配下登録は現実味を帯びてきた。現在の支配下選手は62人で、規定の70人まで残り8枠。川村は「上がれるなら上がりたい」と青写真を描いた。【佐藤究】

 

 

◆川村友斗(かわむら・ゆうと)1999年(平11)8月13日生まれ、北海道・松前町出身。松城小2年時に松城ユニオンで野球を始め、松前中では軟式野球部。北海では1年秋からベンチ入り。甲子園は2年夏と3年夏に出場し、2年夏は一塁手で準優勝。仙台大では1年春からベンチ入り。2年秋に最高打率、最多打点、ベストナイン。3年秋は最多本塁打、最多打点、ベストナイン。21年育成ドラフト2位で入団。昨年のファーム日本選手権では最優秀選手。家族は両親と弟。今季推定年俸は400万円。背番号132。181センチ、88キロ。右投げ左打ち。

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