開幕スタメンまで突き進む。ヤクルトからトレード加入した西武元山飛優内野手(25)が、中日戦(ベルーナドーム)で2安打を放ち、打率4割5分5厘でオープン戦の首位打者争いに名乗りを上げた。堅守に定評があるが、打棒と好走塁で連日の猛アピール。一時は引退後のセカンドキャリアまで考えたというオフが明け、一転して正三塁手争いで存在感を放っている。

   ◇   ◇   ◇

与えられた2打席で応えた。元山は2回2死、中日小笠原のスライダーを右翼線二塁打とすると、先頭の5回は三塁への内野安打で出塁。続く外崎への2球目が暴投となった間に、守備のタッチをかいくぐり、一気に三塁を陥れた。「何でもやってみろって言われていたんで、積極的にいきました。セーフでよかった」。後続の適時打で同点のホームを踏んだ。

松井監督は「左の先発投手にもいけるところを見たい」との意図で、左腕小笠原にぶつけた。ヤクルト時代は抑えられた印象があった。それが2打数2安打。元山は「(左も)苦にしないぞってところを見せられてよかったです」。オープン戦打率は11打数5安打の4割5分5厘。規定にはわずかに満たないものの、オープン戦首位打者を十分に狙える位置にいる。

移籍で道が開けた。昨季は出場22試合で打率1割台。セカンドキャリアも考えた。「今年あかんかったら終わりやろうな。サラリーマン、できるんかなとか思ったり。地元や大学、高校の先輩に話を聞いたりしましたね」。そこに舞い込んだトレード。嶋打撃コーチの指導で打つポイントを前にし、昨季まで西武でプレーした呉念庭にも電話で助言をもらう機会に恵まれたことで、才能が開花した。

本職は遊撃だが、名手源田がいる。この日も「6番三塁」で先発。佐藤龍や渡部らとサードの定位置を争う。「打っても、龍世さん(佐藤)もベッケン(渡部)も打つので、気が抜けない。アピールにアピールを重ねてっていう気持ちです」。試合に出られて、レギュラー争いができる。野球ができる喜びが元山を動かしている。【鎌田良美】

◆元山飛優(もとやま・ひゆう)1998年(平10)12月4日、大阪府生まれ。佐久長聖では1年夏、3年夏に甲子園出場。東北福祉大を経て、20年ドラフト4位でヤクルト入団。背番号は宮本慎也が現役時代に背負った6番を着用。21年3月27日阪神戦で初出場し、同試合でプロ初本塁打。昨年12月に宮川とのトレードで西武移籍。今季推定年俸1100万円。180センチ、81キロ。右投げ左打ち。

【関連記事】西武ニュース一覧