開幕先発をグイッ。広島田村俊介外野手(20)が2打席連続本塁打を含む3安打3打点をマークした。オープン戦12球団トップタイの2本塁打に、打率も3割5分5厘に上昇。経験者もいる広島外野のレギュラー争いの中で、若き侍が大きくアピールした。

半速球にも、田村の左肩は開かない。下半身から伝わる力を最後に解放するスイングでアーチを描いた。5回の第2打席。まずは日本ハムの開幕投手伊藤の浮いたスプリットを逃さなかった。「1打席目に低めの変化球を振って無駄な打席になってしまったので、目線を上げて浮いた変化球を全部食らいついて行こうという感じで行った。それが結果につながって良かったです」。空振り三振に終わった第1打席の反省を生かし、甘い球を完璧に捉えた。打球は右翼席へ一直線。2階席に着弾した。

7回も、3番手福島の2球続けた151キロに空振りして追い込まれながら、3球目139キロの変化球を振り抜いた。高く舞い上がった飛球は、そのまま右中間席に吸い込まれた。プロでは自身初の2打席連発となった。1点ビハインドの9回は、1死二塁からザバラの157キロをファウル、ボールと見極めた後の3球目146キロスプリットを強振した。「真っすぐはファウルになったんですけどまっすぐに入っていって浮いたフォークを前で弾き返せたので良かったです」。右翼に引っ張って、同点に追いついた。

試合の中で示した修正能力は新井監督も高く評価する。「バッティングは、若い選手の中でも抜けている。打席の中での対応力、修正力は目を見張るものがあります」。開幕スタメンを含むレギュラー争いはまだ続く。指揮官は「まだ決まっていない」と前置きしつつ「のびのびとバッターボックスに立たせてあげたい」と構想を明かす。才能豊かな20歳。その名は深く、首脳陣の中に刻まれている。【前原淳】

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