日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(53)が27日、28年にわたる現役・監督生活記憶を振り返り、記憶に残る野球人・できごとを語った。

同じチームだけでなく、違うチームでも多くの野球人と交流があった。対戦相手の中で思い出される1人に、ヤクルト野村克也監督を挙げた。

「野村さんとは僕は一緒にやってはないんですけど、評論家の仕事をやり始めてから、たまにね、現場で会うようになる。会う時に『おい、お前、ゴルフばっかりやってんじゃねえぞ』ってよく言われてました。『早く、ユニホーム着ろ』って」と懐かしんで、こう続けた。

「野村さんの場合は、僕は敵の選手も成長させてくれた監督だと思う。やっぱり野村さんがヤクルトの監督の時って強くなって、古田敦也というキャッチャーで。そこを倒さないと、僕らも上に行けなかったっていうところもあって。戦略的に野村さんっていうのは、こっちが考えさせられたんで。だからそこを考えていかないと、向こうの戦略に全部やられるっていう。だから、そこで考えてやんなきゃいけなくなったんで、自分も成長できた。相手の選手も成長させてくれるような監督だった風に感じてます」。

この3月に新刊本「谷繁元信のプロ野球『通』」(ビジネス社、税込み1760円)が発売された。思い出の野球選手や試合だけでなく、プロ野球「通」になる見方、楽しみ方についても語っている。

「いろんな見方があると思う。野球って。ただ、打った、投げたが面白いという見方もOKだろうし、格好いいとかも楽しみ方の一つ。でも、僕は野球の深めなところも伝わればいいと思う。キャッチャーやってたので、そういう通的な見方。どうやったらバッターを抑えるか。1打席の結果だけでは多分、みんなやっていない。1年間のつながり、試合のつながり。そういうものを奥深く見てもらうようになれば、野球がさらに面白くなると思います」。