巨人梶谷隆幸外野手(35)が、守っても打ってもいぶし銀に輝いた。

1点リードの5回2死二塁。カウント3-2から内に入った142キロ直球を右翼席へ運んだ。3点差に突き放すチーム1号となる2ラン。ベンチを指さし、ダイヤモンドを1周すると阿部監督とハイタッチを交わし「考えて考えてやった結果が出た。打ってなんぼだと思うので、僕は」と食らい付いた。

ビッグプレーで“2点”を防ぎ流れを引き寄せた。3回1死一、二塁で森下の打席、右中間へぐんぐん伸びていく打球に、右翼の位置から猛ダッシュしながら横っ跳び。右斜め後ろへダイビングキャッチでグラブに収めた。すぐさま、吉川の中継プレーで帰塁できなかった一走・中野をアウトにし併殺。抜けていれば2点を失う場面で見せたプレーに、ベンチの阿部監督も帽子を脱いで最敬礼した。

夏場になると攻撃の間、グラブは冷蔵庫に入れる。「ぐにゃぐにゃになるのが嫌で。特に屋外球場だと夏は革が柔らかくなっちゃうんですよ」。DeNA時代から取り入れているこだわりだった。元々は遊撃出身の守備の人。12年前の初開幕戦は「1番遊撃」で同じ阪神戦だった。プロ入り1年目のキャンプは打撃投手の球が速すぎて「選手だと思った。これは無理だ」とプロへ足を踏み入れてからプロ18年目。島根で過ごした18年と同じ年数を弱肉強食の世界で過ごしてきた。

巨人にきて4年契約最終年。新外国人で開幕3日前に電撃退団したオドーアが入るはずだった右翼で、3年ぶりの開幕スタメンをいわれたのは前日だった。2軍キャンプ中、阿部監督から「どこかではチャンスを与えるから」といわれ臨戦態勢を整えてきた。「やるかやられるかの立場。しびれますね。ダメだったら去らないといけないというのは誰もがあること。なんとか食らい付いていって。自分次第かなと思う」。職人気質の男が渋く、光った。【栗田成芳】

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