前夜のヒーローが、この日も勝利を呼び込んだ。阪神森下翔太外野手(23)が巨人先発の菅野から、流れを変える同点打を放った。相手右腕の前に、チームは7回終了時点で3安打無得点。1点ビハインドで迎えた8回。連打で作った1死一、二塁の好機だった。自身2四球と三振で迎えた第4打席。「バッテリー間も配球を変えてくるので」と冷静に打席に入った。

「ボールは見えていたので。ああいう場面は、本当にタイミングでしかないと思う。余計なことを考えても打てないと思うので。タイミングだけをしっかり合わせて入りました」

初球の133キロスライダーを捉え、三遊間を抜く同点適時打。前日17日も決勝の2点二塁打を放った背番号1が、この夜も甲子園を熱狂させた。延長10回にも大勢から、サヨナラ劇をお膳立てする中前打。今季4度目のマルチ安打で3連勝に貢献した。岡田監督も「森下にかけましたけどね。本当もうね、いいところでずっと打ってる感じですね」とえびす顔だ。

菅野は東海大相模(神奈川)の11学年先輩にあたる。入団時から対戦したい投手に挙げる憧れの存在だった。昨季は対戦5打席で4打数2安打と好相性。それでも「シーズンが変わるたびに対策も変えてくるので」と新たな気持ちで今季初対戦に臨んだ。開幕から2戦2勝で無失点投球を続けてきた先輩に、21イニング目での初失点を付ける“恩返し”で存在を印象づけた。

甲子園での巨人3連戦は、9打数5安打3打点の大暴れ。打率は2割1分7厘ながら、得点圏打率はチームトップの3割8分5厘で、リーグ3位の11打点が勝負強さを物語る。

「やっと(勝率が)イーブンになったので。ここから連勝したいと思います」

19日からは首位中日と甲子園で3連戦。大野、メヒア、松葉の難敵3先発が予想される。背番号1のバットに、今週末も乞うご期待だ。【波部俊之介】

▼森下は打率リーグ25位の2割1分7厘の低打率だが、得点圏は7位の3割8分5厘で勝利打点3は佐藤輝らに並ぶリーグトップ。同点打や決勝打など肩書付きの5安打はリーグ2位タイの多さで勝負強さが際立っている。今季11打点はリーグ3位で、トップで12打点の岡本和(巨人)とオスナ(ヤクルト)に肉薄している。