<ソフトバンク3-2楽天>◇4日◇ヤフオクドーム

 今季日本ハムからFA移籍したソフトバンク鶴岡慎也捕手(33)が、サヨナラ打を放ち試合を決めた。

 バットを振り切った打球は、前進守備の外野陣形をものともせず、楽天の右翼手岡島の頭上を越えるサヨナラ二塁打となった。殊勲打の鶴岡は飛びかかる本多を笑顔で受け止め、もみくちゃにされた。

 発奮材料があった。同点で迎えた9回1死二塁。ネクストバッターズサークルで気合を入れ直す鶴岡の目に、本多が敬遠される姿がうつった。「ポンちゃん(本多の愛称)敬遠で僕で勝負だと思っていた。次が(中村)晃なのでゲッツーさえ打たなければいいと気楽にいきました。微妙な打球だったので抜けてくれと思っていたので、よかった」。打率2割前半の男が意地の一振りを見せた。

 細川のスタメンでベンチスタートだった鶴岡に出番が回ってきた。3回、細川が負傷交代となり、4回の守りからマスクをかぶり、投手陣を粘り強くリードした。最少失点でしのいできた鶴岡の演出はうれしい劇的勝利で幕を閉じた。

 選手会長の松田も骨折でチームを離脱し、チーム状況も万全とは言えない。「これまでマッチ(松田の愛称)がチームを引っ張ってくれた。帰ってくるまでに、いい位置でいければ」。鶴岡は、選手の気持ちを代弁し、ベテランらしく背中でチームを引っ張った。

 「(日本ハムから)移籍してきて働けなかったので、これから働けるように頑張ります」。この日試合のなかった首位オリックスと1ゲーム差とした。3連勝をもたらした鶴岡が、お立ち台で声をはずませた。