<オープン戦:中日2-6西武>◇12日◇浜松

 中日平田良介外野手(19)が12日、西武とのオープン戦(浜松)で1軍での“プロ1号”を放った。チーム打率が12球団最低に沈む中、アピール度抜群の1発。沖縄から名古屋に戻ってから打撃が低迷していたが、ここにきて3試合連続安打と再び上昇気流に乗った。左手第3中手骨骨折で離脱している森野将彦内野手(29)の状態次第だが、開幕中堅へぐっと近づいた。

 浜松球場に漂う湿ったムードを平田が振り払った。9回1死、西武の長身左腕グラマンの直球を待っていた。カウント1-1からの3球目。外角高めに狙い球がきた。体とバットが自然に反応した。打球は平田独特の放物線を描いて右翼スタンドに落ちた。

 「真っすぐを待って打ちにいった。よかった。結果を気にしていますよ。やはりエラー(で出塁する)よりヒットがいい。結果が大事です」。

 プロ3年目で公式戦はもちろん、オープン戦でも初-チとなる一発を笑顔で振り返った。1軍に生き残る術はただ1つ。打つこと。5回の第2打席は三塁の失策で出塁。7回の第3打席は右前打を放った。さらに、貪欲(どんよく)に結果を求めた末に“プロ1号”が生まれた。

 2安打はいずれも右方向。ここに安定して結果を出せる要因がある。まだ19歳だが、外角球を無理に引っ張らない「忍耐力」が武器。チームは西武投手陣に7安打2点に抑えられ、打率が2割6厘と12球団最低に低迷する中、平田の打撃は内容、結果ともに際立っていた。

 開幕中堅争いは終盤戦に入った。2月1日のスタートは2軍キャンプと出遅れたが、紅白戦、練習試合で9試合連続安打と打ちまくり、1軍の座を手にした。名古屋に戻った後は4試合ノーヒットと失速したが、再び上昇気流に乗った。正中堅手・森野は左手第3中手骨骨折で2軍調整中。開幕までに復帰する可能性を残しているが、平田にできるのは結果を出し、ゴールまで駆け抜けることしかない。

 落合監督は選手への評価を口にしない。ただ開幕スタメンの基準として1つだけ言葉を残している。「3月28日に元気なやつを使うよ」。沖縄キャンプから指揮官に元気な姿を見せ続けている平田が開幕スタメンに入る可能性は十分にありそうだ。【鈴木忠平】