北京五輪で左足骨膜炎を悪化させたソフトバンク川崎宗則内野手(27)が25日、福岡市内の病院で精密検査を受け、左足第2中足骨の疲労骨折と診断された。全治は未定で、10日間ほどの患部の安静が必要とされており、回復具合を見て今後のスケジュールを決定する見込み。一般的に中足骨の疲労骨折は全治まで最低でも3週間は要するとされており、最悪の場合は今季中の復帰は厳しい状況に陥った。

 北京五輪の準決勝に強行出場した代償は、あまりに大きかった。川崎は福岡市内の病院で精密検査を終えると、荷物整理のために福岡ヤフードームを訪れた。歩行の際には左足をかばうそぶりも見せず、荷物も自分で車に積み込んだ。「痛み?

 全然、大丈夫です。気持ちとしては27日からでも試合に出るつもり。医者に止められても出たい」。川崎は「重傷」を周囲には隠し、そう気丈に話した。MRI(磁気共鳴画像装置)、エックス線による検査を受けた結果「左足第2中足骨の疲労骨折」と診断されていた。

 川崎は五輪合宿中に左足甲の痛みを訴え、4日に「骨膜炎」が判明した。13日のキューバ戦にはスタメン出場したが、症状が悪化。翌14日に五輪村で検査を受けた結果「骨膜炎の悪化」とされたが、骨折は認められなかった。同日以降の1次リーグは左足の影響でスタメンから外れ、22日の準決勝に「9番遊撃」でスタメン復帰。ただ、状態の悪さを示すように、翌23日の3位決定戦は欠場していた。

 球団の発表では、全治は未定で、10日間は患部の安静が必要だという。その後の回復具合を見て、リハビリのスケジュールなどを決定する見込みだ。一般的には疲労骨折の場合、完治には最低でも3週間は必要とされている。足に負担がかかるサッカー選手も足の甲を疲労骨折するケースは多いが、実戦復帰には1カ月以上を要する例がほとんどだ。

 骨折が正確に判明し、王監督も複雑な表情を浮かべた。「休ませた方がいいというから、まず10日間くらいはね。責任感の強い彼が五輪にも出なかったのだからよっぽどだったんだろう」と、当面は治療に専念させる方針を打ち出した。順調に回復すれば9月中旬以降の復帰が可能だが、王監督は「彼の将来もあるから無理はさせません」と長期離脱も覚悟している様子。川崎は「まずは走れるようにならないとね」と、本音も漏らしており、回復具合によっては、今季中の復帰は難しい状況となった。

 この日の楽天戦が雨天中止となり、10月に3試合が組み込まれる。王監督は「川崎にとっては恵みの雨になったね」と前向きに受け止めた。川崎も早期復帰に意欲的で、五輪のドーピング対策として、使用を控えていた高圧酸素カプセルの治療も取り入れる予定だ。王監督は「最後の詰めの部分があるからね。彼がいるだけでも全然違うから」と、川崎を精神的支柱としてチーム帯同で治療させる可能性も示唆。五輪後の反攻を描いていた王構想は、川崎の骨折判明で修正を余儀なくされた。