サムライジャパンにミスター魂注入!

 巨人長嶋茂雄終身名誉監督(72)がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表候補合宿を視察することが17日、明らかになった。2月22日に合宿地の宮崎入りする予定で、マリナーズ・イチロー外野手(35)やレッドソックス松坂大輔投手(28)らに長嶋流のゲキを飛ばす。長嶋氏はこの日、千葉・幕張メッセで「長嶋茂雄ドリームプロジェクト2009」に参加。04年に脳梗塞(こうそく)で倒れて以来初めてバットスイングを披露するなど、順調な回復をアピール。連覇を目指す日本代表を後押しする。

 長嶋氏がついにバットを握った。04年アテネ五輪野球で銅メダルを獲得した日本代表選手らと開催している「長嶋茂雄ドリームプロジェクト」の野球教室で少年少女を打撃指導。参加した約1000人の子どもたちの熱気で熱い思いを抑えきれず、左手1本でグリップをつかむと、力強く振った。「クッと振って。そう、クッと」。独特の“ミスター節”を交え自ら見本を示した。

 04年に脳梗塞(こうそく)で倒れて以来、公の場で初めてのバットスイングだった。その光景を目撃した巨人小笠原は息をのんだという。「しっかり形になっていた。ただただ、すごいのひと言です」と驚くしかなかった。長男の一茂氏も「いや普段でも(スイングは)ないんじゃないか」と、こちらもびっくり。「懐かしいね。血が騒いだんだね」と、父の順調な回復を喜んだ。

 長嶋氏には、WBC“参戦”への準備とも言える。2月16日からの宮崎での日本代表候補合宿へ、激励に出向く意向だ。同じ宮崎での巨人春季キャンプとともに、2月22日に視察する予定だ。長嶋氏は「WBC?

 どっちみち行くでしょう」と笑顔で話した。「楽しみですか」の問いにも「ええッ」と、力強くうなずいた。

 楽しみな再会が待っている。イチロー、松坂らメジャー組はもちろん、日本ハム・ダルビッシュら主力に長嶋流のゲキを飛ばす。ここ2年連続で巨人キャンプを視察し、リーグ連覇。まさに「勝運」を運んでいる。この日、ついバットを振ったように、熱が入れば選手に直接指導する可能性もある。ミスターの行動、言葉は代表選手の心に大きなパワーを与えるはずだ。

 今年で5回目の「ドリームプロジェクト」は、自らの体調をはかる場だ。最初は2階席で見ていたが、すぐにアリーナへ下りてきた。その足取りは確実に軽くなっている。同席した巨人滝鼻卓雄オーナー(69)は「毎年歩くスピードも上がって、距離も長くなっている」と話した。現在、毎日2時間のリハビリを続けている。脳梗塞の後遺症でほとんど動かなかった右手も、ゆっくりとなら上がるようになったという。精神力の強さは、やはり超人的だ。

 巨人原監督率いる日本代表チームは我が子のようなもの。06年の第1回WBCでは、日本代表監督の僚友の王氏に自らの「魂」ともいえるピンバッジをプレゼントした。今回は代表戦士たちを直接激励し、世界一連覇を後押しする。その思いがミスターのエネルギーを生んでいる。【高宮憲治】

 [2009年1月18日9時13分

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