阪神金本知憲外野手(40)が、手術後初の屋外フリー打撃で周囲の度肝を抜いた。第3クール初日の10日、宜野座球場で初のランチ特打を実施。10分間の予定を20分間に延長。69スイングで3連発を含む19本の柵越えをマークした。右翼に飛び込む弾丸ライナーを連発して、昨年11月の左ひざ手術を乗り越え、鉄人が「超鉄人」となって復活をアピールした。17日までの沖縄キャンプで走塁への不安を取り除いて、2次キャンプ高知・安芸での本隊合流を目指す。

 金本が、マスコットバットに滑り止めのスプレーをかけた。今キャンプ初のランチ特打の20スイング目。バットを握る両手に力を込めて柵越えを量産し始める。予定した10分間を超えても、練習を続行した。和田打撃コーチが「トレーナーがすごく心配していた。1球ずつ『もういいやろ』と話しかけていたぐらい」だった。

 延長を含めて20分間の復活ショー。69スイングで3連発を含む19本の柵越えをマークした。右中間に3本、右翼に16本。18本目は右中間最深部の看板にぶち当てた。ラストスイングも隣の打撃ケージにいたメンチに見せつけるような柵越えフィニッシュ。練習を見た中日佐藤スコアラーは「最初は軽かったから5割の力で打って終わりと思ったが、最後はフルスイングでしょ。さすがというか…」とその鉄人ぶりに絶句した。

 柵越えの数だけでなく、打球の質でも復活をアピールした。この日は右翼から左翼に風が吹いた。左打者を悩ませる甲子園の浜風と同じだった。昨季の金本は27本塁打も甲子園の右翼には3本。「今年は甲子園の風にやられたとしか言いようがない」と話していた。

 この日は逆風を切り裂く弾丸本塁打を連発した。練習の合間にバットの出方を確認して、ポップフライには「うわー」と悔しげな声を上げた。中日佐藤スコアラーは「打球が(右に)切れていくと首をかしげた。内側からバットを出して、右にきれない打撃を意識していると思う」とその“浜風粉砕打法”を警戒。和田コーチは「逆風だったのにそれを感じさせない打球。きっちり開幕に仕上げてくれるだろう」と期待した。

 屋外フリー打撃を解禁して、残った制約はベースランニングのみ。権田トレーナーは「打撃練習の延長はひざと体の状態がいい証拠でしょう。ご本人も『よかったよ、ひざの方も問題なかった』と話していた」。今後は沖縄キャンプ中に複雑な動きのランニングを消化して安芸での本隊合流を目指す。真弓監督は「(特打の)後半を見たけど、まずまずじゃないか。順調やね」。指揮官は3月24日のオープン戦ソフトバンク戦からベスト布陣を組む方針だが、「出られる状態なら出た方がいい」と、金本の前倒し出場を認める考えを示した。【益田一弘】

 [2009年2月11日12時12分

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