阪神は29日、高知県安芸市で秋季キャンプをスタートさせた。ドラフト会議出席のため真弓監督不在でのスタートとなったが、今オフに就任したばかりの片岡篤史打撃コーチ(40)が早くも熱血“始動”。あまりにも激しい初日に、育成枠出身の野原祐也外野手(24)は左太もも裏をつるアクシデントにも見舞われた。7時間を越えた“コーチデビュー”で、逆襲を目指す来季へ向けた第1歩を若トラとともに踏み出した。

 新任コーチは体を休めることなく、グラウンドを動き回った。現役を引退して3年。阪神では兄貴的存在として後輩に慕われ続けた片岡コーチは「やっぱり(野球評論家として)外から見てるのと、朝から晩まで(コーチとして)見てるのでは違うね。選手の性格もそうやし、話してみないと分からない」と振り返った。

 中でも“標的”となったのは今季、育成枠からはい上がり、1軍出場も果たした野原祐だった。午後の個別練習で行われたロングティー&特打。同じ左打者として内角球のさばき方と下半身の使い方を重点的に教え込んだために、野原祐は左太もも裏をつってしまった。片岡コーチは「左(打者)はあそこ(内角)をどうさばき、いい確率で打てるか。(足をつった理由は)これまでいかに楽な打ち方をしていたかということ」と一笑に付した。

 応急処置のため、野原祐が一時ベンチに引き揚げた際には「(2軍拠点の)鳴尾浜に帰るか?」とゲキにまで手を抜かなかった。これには野原祐も「情けないですね。左太もも裏をつって」と反省しきり。現役時代、1425安打を放った片岡コーチの新たな挑戦が、南国・高知でスタートした。

 [2009年10月30日11時56分

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