早くも“尾花投手コーチ”が復活した。沖縄・宜野湾での秋季キャンプを視察中の横浜尾花高夫新監督(52)が17日、吉見をブルペンで直接指導した。これまでに守備や打撃などのアドバイスは行っていたが、投手への具体的な指導は初めて。数々の投手王国を築いてきた“名コーチ”が、ついに動いた。

 ブルペンでの投げ込みを行っていた吉見に、おもむろに新監督が近寄った。「吉見!」の掛け声とともに熱血指導が始まった。「今日で帰るからね。ちょっとだけだ」との言葉とは対照的に指導は10分以上に及んだ。その姿は監督ではなく、完全に投手コーチ。「変化球ばかり投げるから弱い手になっているんだ。強い手にならないと」と腕を取りながらフォームを矯正し、体幹や下半身の使い方も自ら手本を見せた。指摘したのは腕を強く振り、速い球を投げること。9年目の31歳に「監督のひと言は重みがあった。いい球が行ってました」と忘れていた基本を思い出させた。

 球に勢いが出てきた吉見には、尾花監督から「そうじゃ!」「そうそう」と景気のいい声が飛んだ。吉見だけではない。この日は朝から積極的に声を出す姿があった。視察3日目にして選手との距離はグンと近づいた。「観察だけ」だった当初の予定から一転、現場に出ればやはり指導者の魂は抑えきれなかった。18日には横須賀で野手陣と対面する。【鈴木良一】

 [2009年11月18日8時5分

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