「第2のブランコ」を発掘じゃ!

 広島が、今季限りで現役を退き、球団スカウトに転じた尾形佳紀氏(31)にドミニカ共和国で開催中のウインターリーグを視察させていることが3日、分かった。1週間の滞在で4試合をチェックする予定。スカウトとしての「目利き」を養うだけでなく、戦力の調査も行う。今季、本塁打王に輝いた中日ブランコは同リーグでプレーしたところを見いだされブレーク。広島もダイヤの原石発掘を目指す。

 「ダイヤの原石」を追い求めるドミニカへの旅だ。現役を退いたばかりの尾形スカウトが、好素材のそろうウインターリーグを視察する日々を過ごす。野球の観察眼を養うのが主な目的だが、球団は「副産物」も期待する。松田オーナーは「これがスカウトとしての第1歩ということ。面白い選手がいればビデオを撮って残す。情報量を増やすということ」と説明した。

 日本球界の熱視線を浴びているのが、現役メジャー選手も多く参加する同リーグだ。今季、本塁打王と打点王に輝いた中日ブランコも同リーグで発掘された。中日は11月に森ヘッドコーチを派遣。新外国人候補のチェックに乗り出している。阪神や楽天なども中南米ルートの開拓に乗り出しているなかで、広島も負けてはいない。球団幹部は「(スカウトの派遣は)近年には珍しい」と話す。

 同スカウトは11月27日に出発し、12月9日までの旅程。首都サントドミンゴ市を拠点にして4試合を視察する。スカウト業としての「研修」の意味合いが強いが、今季まで白球を追っていた同スカウトならではの“現役目線”も大いに役立ちそうだ。

 広島は90年に同国で「カープアカデミー」を開き、育成を行っている。今季、育成枠で入団し、日南秋季キャンプで注目されたソリアーノも同国出身。野村新体制となり、来季の飛躍を期す上で、縁深い南国からの助っ人が増えれば心強い。10月上旬に戦力外となった尾形氏は「選手として悔いはありません」と話していた。屈強な助っ人発掘が新天地での本格的なスタートになる。【酒井俊作】

 [2009年12月4日10時6分

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