<中日0-1楽天>◇11日◇浜松

 一見無謀なワンプレーの裏に、ブラウン楽天の目指す野球が詰まっていた。4回、先制機を得た。2死一、二塁で中村紀が左前打。低いライナーで定位置やや前に達した。

 中日野本が捕球した時、二塁走者のフィリップスはまだ三塁に到達していなかった。だが本西三塁ベースコーチは右腕を回しGOサイン。フィリップスは全力疾走で本塁突入した。速度を落とさず滑り込んだ先にはすでに、ミットに収まった返球があった。

 シーズン中なら暴走としてクローズアップされる。だが本西コーチは確信犯で本塁突入を指示していた。

 本西コーチ

 ヒット1本で緩めずに本塁までかえってくる意識。この時期に、みんなにすり込ませておきたい。いい機会と思ってわざと行かせました。

 意識付けには即効性があった。9回1死、フィリップスは遊撃へのゴロで再度全力疾走。内野安打とした。新加入の外国人は実は、スパイクされた左ひざに腫れが残っている状態。それでも方針を理解し、宮出の決勝打をおぜん立てした。最少点差を制しオープン戦首位。今年の楽天は常に先の塁を狙う。【宮下敬至】

 [2010年3月12日8時41分

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