<ヤクルト5-2中日>◇30日◇神宮

 出た!

 中日トニ・ブランコ内野手(29)が推定130メートルの今季1号2ランを左翼スタンドにぶち込んだ。初回、2死一塁からヤクルト先発中沢の内角より初球をフルスイング。打球はきれいな放物線を描いて左翼スタンドに飛び込んだ。ブランコは「(打った球は)チェンジアップ。うまくバットを振り抜けたよ」とにんまり。今季初の感触を確かめるようにゆっくりと一塁ベースに歩き出した。

 予感はあった。オープン戦では2本塁打、打率1割4分9厘と低空飛行を続けたが、シーズン開幕後はスイッチが入った。広島との開幕戦こそ無安打だったが、その後は2試合連続でマルチ安打。今季初本塁打に向けて「まだまだシーズンは長い。これからもっと良くなっていく。いつか出るよ」とその時が来ることを静かに待っていた。

 まじめなブランコは日々、試行錯誤を続けている。オープン戦終盤からは複数メーカーのバットを試して「10年型バット」を模索。昨季CS前にも低く沈む変化球への対応が狙いでそれまでより2インチ長い、36インチ(約91センチ)の超長尺バットを使用するなど、商売道具へは細心の注意を払う。その姿勢は今季も変わらない。

 チームはここ2年連続で負け越している苦手ヤクルトに初戦黒星。「明日から気持ちを切り替えてまた頑張るよ」と話して球場を後にした。この日の本塁打は空砲に終わってしまったが、今季もB砲はチームにとって大きな武器。ブランコの2年連続本塁打王への挑戦が敵地神宮で始まった。【桝井聡】

 [2010年3月31日11時2分

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