<中日2-2ヤクルト>◇21日◇ナゴヤドーム

 頼れる5番として、パパとして、中日和田一浩外野手(37)が試合を振り出しに戻す6号2ランを放った。2点ビハインドの7回無死一塁。ヤクルト石川のカットボールに反応した。フルスイングで高めのボールをたたきつぶすと打球は左翼スタンドへ一直線。「良いところで打てて良かった」。チームはセ・リーグ今季初の延長12回ドローだったが、阪神が負けたため2位に浮上。和田の1発がチームを半歩前進させた。

 2日遅れの祝砲だった。2日前に絵美子夫人(29)が東京都内の病院で第3子となる三男を出産。体重は3082グラムで母子共に健康だった。19日は試合がなく、出産に立ち会うこともできた。前日20日には「無事に生まれてきてくれてよかった」と喜んでいた。試合終盤で同点に追いついた貴重な2ランは家族、そして生まれてきたばかりの三男に送るプレゼントでもあった。

 和田にとって家族の応援は不可欠だ。先週のホームゲームから打席に入るときのテーマ曲をトータス松本の「みいつけた!」に変更した。子どもたちが欠かさず見ているNHK教育テレビの子ども番組のエンディング曲。絵美子夫人の薦めだった。「ボクはあまりそういうのが分からないので(夫人の)言われたまましたんですけどね」。苦笑いでそう話したが、家族思いの和田らしい選曲だった。

 試合後、落合監督は「負けなくて良かったと考えるか、勝てなくて残念と考えるかは考え方次第。普通にいけば負けゲーム。和田が2ランを打った。あれがなきゃ負けていた」と話した。勝てはしなかったが、和田が放った一発は大きな意味があった。【桝井聡】

 [2010年4月22日11時33分

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