試合後バスに乗り込む選手の中に、炎上した先発左腕の姿はなかった。3回7安打8失点で今季最短KOを喫した中日小笠原孝投手(33)はゲーム中に強制退去を命じられた。過去に08年山内、09年山井などが試合中に名古屋に強制送還を命じられたのと同等の措置。はでに本塁打を浴び、序盤で試合をつぶしてしまったベテランの投球内容にオレ竜の怒りも頂点だ。

 1発病がまたも顔をのぞかせた。3回1死から2連打と死球で満塁。8番倉に甘く入った直球を左中間へ運ばれた。プロ初の満塁本塁打を被弾。2番梵にも2ランを浴びてこの回、大量6失点。1回にも3番天谷に先制ソロを浴びており、今季5試合で9本塁打を許した。昨季、21試合で10本だったことを考えると異常なハイペースだ。

 「野手のみなさんに申し訳ないです…」。試合中に広報を通じてそうコメントを残した。その後、1人ですごすごとマツダスタジアムを出て宿舎ホテルに向かった。2軍では川井、中田賢らが昇格機会をうかがっている。1勝3敗、防御率6・84と不安定な左腕ががけっぷちに立たされていることは間違いない。

 描いていた構想も見事に崩れた。G倒ローテを組んで左右のエースである吉見、チェンを前カードの巨人戦にぶつけたが、負け越した。今季初めて中8日で登板した小笠原も炎上し、08年9月20日以来となる敵地広島で4連敗。落合監督は試合後「わかりやすいゲームだろ。簡単だろ」と不敵な笑みを浮かべたが、心中は穏やかではないはずだ。【桝井聡】

 [2010年5月1日11時5分

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