<横浜3-4巨人>◇8日◇ハードオフ新潟

 巨人が21年ぶりの越後路で、再び首位固めに入った。同点の5回、長野久義外野手(25)が横浜三浦から右翼席へチーム通算8999号となる勝ち越し3号2ラン。7月24日、新潟でのオールスター第2戦出場へ、地元ファンへ強烈なアピール弾となった。5月は打率4割超と絶好調ルーキーの活躍で、チームは4連勝で貯金は今季最多の11。2位阪神とのゲーム差を2・5に広げた。

 勝利に酔いしれるファンの大歓声に、長野は控えめに右手を上げて応えた。21年ぶりとなる新潟での試合。勝負を決める2ランを放ったルーキーは「長野です。明日もしっかり頑張りますので、応援よろしくお願いします」と初々しさ全開のコメントでお立ち台を締めた。

 自己紹介はバットだけで十分だった。同点で迎えた5回1死一塁、三浦の直球を右方向に打ち返した。「スンさん(李承■)がつないでくれたので、右方向に打ってランナーを進めようと」という狙い通りの右打ちで、両翼100メートルの右翼席最前列に運んだ。「風です」と流したが、右方向へ強い打球を打てるのが長所。プロ初の右方向への1発は、パワー、技術の高さを物語っていた。

 ファア・ザ・チームの精神を貫いた。1点差に詰め寄られた9回の4打席目は先頭打者として中前打。「本塁打?

 たまたまです。僕はホームランバッターじゃないんで。試合に勝てたことがうれしいです」。追加点には結びつかなかったが、チャンスメークに徹した。

 シーズン開幕から1カ月。打率3割、3本塁打の好成績の裏に、強い精神力と肉体がある。4月中旬、坂本、松本と3人で体調について話し合った。坂本から「体の疲れはどうですか?」と聞かれ「全然大丈夫だよ」と平気な顔で答えた。アマチュア時代に作り上げてきた強靱(きょうじん)な土台があるからこそ、プロの厳しい連戦を乗り越えることができている。坂本が「1年目のシーズンですし、最初の月は疲れを感じてもおかしくない。でも長野さんは全然大丈夫って答えたんですよ。すごいの一言です」と目を丸くさせるほど、黙々と試合に出場し続けている。

 この日の試合前には、原監督から「ホームランも打点も勇人(坂本)に負けているようではいかんぜ」とハッパをかけられた。指揮官の言葉に「頑張ります」と静かに闘争心を燃やした。ゲキの比較対象となった坂本は3安打猛打賞。指揮官の期待に両者が結果で応え、試合後は新潟の郷土料理で活躍を祝った。ハードオフ新潟では、7月24日にオールスター第2戦が行われる。「意識はなかったですよ」と答えたが、新潟のファンに強烈なインパクトを残した。【久保賢吾】※■は火へんに華

 [2010年5月9日9時17分

 紙面から]ソーシャルブックマーク