<楽天5-11日本ハム>◇4日◇Kスタ宮城

 好調リードオフマンの勢いに乗って、日本ハムが今季初の貯金生活に入った。9回に一挙6点を奪い大勝。1死満塁から鶴岡慎也捕手(29)の右前打で勝ち越し、打率リーグトップの田中賢介内野手(29)が自身初のグランドスラムで試合を決定づけた。終わってみれば今季最多タイ19安打で11得点。チームは5カード連続の勝ち越しで、79試合目にして初めて白星が先行した。

 クルマと“日本ハム打線”は、急には止まれない。1度勢いがつくと、あっという間に差が広がった。同点で迎えた9回、鶴岡、金子誠の連打で勝ち越すと、最後は田中が右翼スタンドへ自身初の満塁弾。仙台の楽天ファンは、突然の豪雨で中断となった6回と同じように、一斉に席を立った。田中は「前のバッターがつないでくれましたからね。入ってくれてよかった」。今季最多タイの19安打、11得点の貫禄(かんろく)勝ち。79試合目で初めて貯金生活に入り「貯金があると気持ち的には楽ですね」とほおをゆるめた。

 リーグ戦再開後、これで13勝2敗。風船のようにふくらんでいた借金は、穴を開けたように急速にしぼんだ。“針を刺した”のは、首位打者に立つ田中だった。この15試合の成績が63打数27安打、打率4割2分9厘。無安打に終わった試合が1試合しかない。この日も6打数3安打の猛打賞で、打率を3割6分1厘に上げた。「いい調子を維持できています。つながりも出てきたと思うし、チーム状態もいいです」。1番打者として塁上をかき回し、打線を引っ張った。

 6月末には、いち早くタブレット型コンピューター「iPad」を購入。相手投手のデータや特徴をメモし、それをベンチで確認して打席に入っているが、今後はデータ整理に最先端機器を使用して研究効率を上げるつもり。「インテリ野球選手ですから」と冗談を飛ばすが、体のメカニズムを勉強するなど、野球への取り組みは確かに、知的で独特の価値観がある。

 4位のオリックスが負けないため順位こそ変わらないが、首位西武とのゲーム差は5・5に急接近。梨田監督は「最後は(田中)賢介が仕上げてくれた。貯金1?

 まだ1個。浮かれることでもない」と手綱を締めたが、全速力で上位を猛追。「打線」だけではなく、チームの勢いも簡単には止まらない。【本間翼】

 [2010年7月5日11時16分

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