10月に原監督の前で真弓監督が舞う?

 開始直前の豪雨で阪神は巨人との首位攻防戦が2日連続で中止となった。流れた2試合の代替日は未定だが、9月以降に甲子園で巨人戦が5試合開催されることが確実となった。これは75年以来の“珍事”で、その年には巨人に16勝9敗1分けと圧勝した吉例もある。真弓明信監督(57)も「本当の勝負は9月中旬から」と先を見据えており、9月のガチンコ決戦は望むところだ。 2日続けて同じような光景が広がった。試合開始を目前にして、突然の大雨が甲子園に降り注いだ。午後5時10分に中止が決定。注目された首位攻防戦は2戦連続で水入りとなった。ナインは試合前練習を通常通り屋外ですませており、この日の中止は予想外だった。

 球団関係者は言った。「両チームのことを考えれば、こういう状況でやるのは失礼だ。終盤にも首位決戦ができれば…」。宿敵同士の戦いは、もっと先の佳境に取っておく-、そんな天のいたずらだろうか。秋の日程に大きな影響を及ぼすことは間違いない。

 流れた2試合の代替日は未定で、早くても決まるのは8月下旬だ。ただスケジュールは埋まっており、9月24日以降に組まれるのは確定的だ。となれば、従来の日程に加え、甲子園の巨人戦が9月以降に5試合も行われることになる。これは75年に6試合行われて以来の珍しい出来事。ちなみに当時はシーズンで16勝9敗1分と巨人を圧倒した好データが残っている。

 真弓監督にとっても、秋の大決戦は望むところだ。雨天中止後は今日からのヤクルト戦に向け足早に東京に移動。「必ずしもやりたい、というわけでもなかった」と言い残した。これまでに勝負師の勘を働かせて「本当の勝負はまだ先だ。9月中旬だ。そこで勝てるかどうか。すべてはそこにかかってくるはずだ」と、今後の戦況をにらんでいた。

 雨の影響もあって、指揮官の言葉通りになりそうだ。「秋の陣」で伝統の一戦が5試合もある。しかもすべて本拠地甲子園でだ。今カードの初戦となった13日は延長12回の死闘を繰り広げた。シーズンの終盤になれば、さらに激しさを増すだろう。

 さらに真弓阪神にとっては、巨人キラーをフル回転させられるメリットも発生した。昨季から巨人戦で抜群の投球をみせる左腕エース能見が順調にリハビリメニューを消化しており、8月中に1軍に合流できる可能性が出てきた。先発投手を立て直しているが、能見が復調すれば、ラストスパートの大きな戦力となる。主砲金本も今日15日の巨人戦でスタメン復帰する予定だった。右肩痛の再発さえなければ、調子が上がったピークの状態で9月を迎えられそうだ。勝負の9月-、総力戦で宿敵を撃破しリーグ戦を制する絵が見えてきた。

 [2010年7月16日11時21分

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