<広島5-8巨人>◇30日◇マツダスタジアム

 両手を両ひざに当ててうつむき、広島前田健太投手(22)が動けない。5秒、10秒、15秒…。6回、壮絶に打ち込まれた。自らの押し出し四球と脇谷の左前適時打で2点差に迫られ、2死満塁。代打エドガーに外角スライダーを左翼席へ運ばれるまさかの逆転満塁弾。直後の坂本にも被弾。プロ初の1イニング7失点でKOされた。

 イニング途中での降板は今季初。降板後は一塁側ベンチに座って顔をタオルで覆う。紅潮した表情からはダメージの大きさをうかがわせた。大野ヘッド兼投手コーチは「人に頼らず、自分で投げ切るという性格の強い子。力みになって、勝負を急ぎすぎたのか」と振り返った。

 前半戦11勝をマークしたが、疲労のため球宴直前の先発登板を回避。23日の第1戦では先発して2回無失点も球数は17球。公式戦の先発は13日横浜戦以来というブランクが響いた。

 「すみません」と言うと、足早に引き揚げた。チームは4連敗で、3年ぶりの借金20に膨らんだ。【酒井俊作】

 [2010年7月31日7時50分

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