広島のドラフト1位ルーキー今村猛投手(19=清峰)が17日にも1軍初昇格を果たす。16日、マツダスタジアムで行われた1軍投手陣の練習に合流し、ブルペンで投球練習などを披露。今日からのヤクルト戦は2戦目以降、ローテーション投手が不足しており、大抜てきの先発デビューの可能性も浮上してきた。借金「23」と苦しむチームに、若き右腕が新風を吹き込む。

 コイの黄金ルーキーが、ついにベールを脱ぐ。今村は「2軍ではなく、上(1軍)でやりたい気持ちはずっと持っていました」と表情を引き締めた。

 前日(15日)にこの日の1軍投手陣練習への合流を知らされた。7月下旬の球宴休み期間にも1軍練習に参加しているが、そのときは今後に向けてのテストの意味合いが強かった。しかし、今回は違う。その成長ぶりを確認した首脳陣の判断があった。

 大野ヘッド兼投手コーチは、この日ブルペンで今村の投球を見守った。「だいぶ力強さが出てきたね。体の使い方とか、腕の振りが改善されている」と評価した。

 今村は、7月22日のフレッシュ球宴で先発し、2回を投げた。プロ入り後、ストレートの球速は140キロ前後だったが、この試合では最速148キロをマークした。このとき、今村は「なにかつかんだ感じがした」という。テークバックで力を抜き、前で大きく腕を振る。最速152キロを記録した高校時代にも感じた感覚を取り戻したという。練習で継続して取り組み、8月10日のウエスタン・リーグ対オリックス戦では8回を7安打1失点と結果にもつなげて見せた。オリックスにはセギノールやラロッカら1軍クラスの選手がそろっており、その打線を抑えたことで自信にもなった。

 首脳陣は、今村を将来のエース候補として育成するため、2軍で先発ローテーションに入れて起用してきた。大野ヘッドは「ずっと先発としての使い方をしてきた。(1軍昇格なら)救援からその後先発?

 それもないことはないが」と話し、昇格即先発の可能性も示唆した。

 17日からのヤクルト3連戦は、初戦は篠田、2戦目または3戦目にはスタルツがスタンバイするが、1試合は先発の谷間ができる。順当なら斉藤らの起用だが、低迷するチームの起爆剤とすべく今村の先発もありうる。実現すれば、大型新人のデビュー戦には格好の舞台となる。【高垣誠】

 [2010年8月17日10時27分

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