巨人大道典嘉内野手(41)が29日、東京・大手町の球団事務所で会見し現役引退を表明した。「南海」を経験した最後の現役選手は「振り返ればあっという間。波瀾(はらん)万丈だったが、すがすがしい気持ちで、まったく悔いなく野球人生をまっとうできた」と23年の選手生活に終止符を打った。

 会見では、さまざまな思い出がよみがえった。ホークス時代は地獄と天国を見た。「ダイエーの時に(ファンの怒りが爆発した)“生卵事件”があって、そこから強くなって優勝して…」。巨人では移籍直後からリーグ3連覇。代打で何度もチームを救い「古巣ソフトバンクの杉内から打った本塁打、そして去年の日本シリーズで打ったヒットが思い出に残ってますね」と感慨深げに振り返った。

 プライベートでも仲の良かった故木村拓也さんの話題になると笑顔が消え、大粒の涙がこぼれた。「タクのためにも今年1年は頑張ろうと思ったが、活躍できず残念。速いストレートに空振りしたり、詰まったりすることが多くなり、バットを置こうと決めた」と、声を震わせた。

 電話で引退を報告した原監督からは「お前の打席での執念は忘れないぞ」とねぎらいの言葉をかけられた。大道は「1度外に出て、野球を一から勉強して、いつかタクみたいにコーチになりたい」と、新たな夢に思いをはせた。【広瀬雷太】

 [2010年10月30日8時11分

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