阪神は17日、楽天からFA宣言した藤井彰人捕手(34)の獲得交渉に臨むことを正式に表明した。この日、コミッショナーが宣言選手を公示。南球団社長が大阪市の電鉄本社で取材に応じ、ラブコールを送った。

 「藤井選手の獲得に動きます。1シーズンを考えると必要な補強。(藤井の)経験豊富な部分と若手を育てるということをミックスして、戦力になる」。

 交渉解禁日のきょう18日に大阪市内の高級ホテルで速攻アタックをかける。

 城島が左ひざを手術し、来季開幕戦の出場が絶望的な状況となった。緊急補強ではあるが、単なる穴埋めではない。藤井は08年にベストバッテリー賞を受賞した実績をもつ。小宮山や岡崎ら現有戦力の底上げにも取り組む必要はあるが、競争なくして成長はありえない。藤井が加入すれば、刺激的な存在になるはずだ。

 球団側は初の国内FA捕手補強に向け、できる限りの誠意を見せる考えだ。第1回の獲得交渉には黒田編成部長と高野球団副本部長が臨むが、2回目以降に真弓監督の出馬も検討。沼沢球団本部長は「当然、視野に入れている」と力をこめた。近鉄時代にコーチと選手の間柄で同じユニホームで戦った。他球団の参戦も想定し、指揮官には獲得の決定打となる「切り札」の役割を託すことになる。

 今回の交渉では、万全のシフトを敷く。藤井加入後を見据え、城島にも獲得方針を伝える模様だ。同球団本部長は「動くということを城島に言うように指示している」と明かした。2年連続の捕手補強で、城島が不満を漏らすことは考えられないが、すんなりとチームにとけ込めるように最大限、配慮する。

 現時点で阪神以外に獲得を表明した球団はない。解禁日の電撃交渉で、藤井の心を傾かせることは間違いない。

 [2010年11月18日11時14分

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