被打率0割4分8厘!

 阪神藤川球児投手(30)が16日、沖縄・宜野座球場でフリー打撃に初登板。森田一成内野手(21)、野原将志内野手(22)に計42球を投げ、安打性2本に封じた。打者に打たせるための練習だが、軽く投げただけで抑えてしまう。第2クールに右足股関節痛で戦線離脱した影響を感じさせず、守護神健在を見せつけた。

 藤川が、今キャンプ初のフリー打撃登板で圧巻のパフォーマンスだ。気温20度。日差しが降り注ぐ宜野座球場。ファンだけでなくグラウンドの選手の視線も独占した。本来は、打者に打ってもらうための練習。けっして全力ではなく、カーブ、フォークを投げる際には、球種も予告した。それでも、若手2人にまともなスイングをさせなかった。

 森田、野原将の2人に42球を投げ、許した安打は2本。しかも、森田の左前打は完全に詰まらせたポテン打。「速いです。とらえたと思っても、ボールの下をたたいてしまった感じ」と驚かれた。野原将の中前打は、久保投手コーチの指示で、わざと肩口から入るカーブを投げたもの。27スイングで、引っ張られた打球は1本のみ。軽く投げても、火の玉は健在だった。

 藤川

 普通じゃないかな。ボール球を投げても仕方ないし。やっていることは、普通にできています。黙って見ておいてください。

 調整遅れを懸念する声を、完全にシャットアウトした。7日のウオーミングアップ中に右足の故障を訴えて離脱。右股関節内転筋炎と診断された。09年に1度痛めた古傷。周囲は色めき立った。それでも翌8日、午前8時30分からのアーリーワークに平然と参加し、全力疾走した。10日にブルペンでの投球練習を再開。「みんなが心配して連絡してきてくれたけど、弁解がたいへんだった」と話した。この日も、自信を持ってボールを投げ込んだ。

 抑えとして開幕を迎えるのは5年目。今年のテーマは「不言実行」。グラブにも英訳して刺しゅうを入れている。多くを語る必要はない。

 それでも、1年間を戦い抜く覚悟が、驚異のハイペース調整につながっている。WBCを控えていた09年は調整を前倒しし、第1クールでシート打撃に登板したが、それ以外では07年に次ぐ早さのフリー初登板。故障してなお、この早さだ。

 山口投手コーチ

 連絡したら「OKですよ」と言っていた。(実戦は)1回紅白戦で放るんじゃないかな。1イニングぐらいかな。

 次回は高知・安芸に移動後の紅白戦(19~21日)で登板予定。自主トレで沖縄入りしたのは1月11日。アクシデントも、統一球もものともせず、球児は開幕に向かう。【鎌田真一郎】

 [2011年2月17日11時35分

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