<ソフトバンク3-0西武>◇14日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク杉内俊哉投手(30)が、やっと笑顔になった。9回2死一、二塁。1発出れば同点の場面。142球目。5番フェルナンデスに全力で142キロの直球を投げ込んだ。打球は三ゴロ。左手でグラブをたたき「ヨッシャー!」と叫んだ。女房役の山崎とタッチを交わすと、もう1度「シャー!」。0を並べたスコアボードを見て今季初めてマウンドで笑顔を見せた。

 開幕から4試合、白星に恵まれなかった。「今日は最初から飛ばしていこうと思った」。初回、西武4番中村から141キロ直球で空振り三振を奪うと、3回2死まで6者連続三振。9回1死一、二塁のピンチでも中村を空振り三振に仕留め、09年8月の日本ハム戦に並ぶ自己最多タイの15奪三振。「(三振数は)まったく意識していなかった。それよりも勝ちたかった」と振り返った。

 4試合の平均失点は2と試合はつくっていたが、開幕4戦白星なしは10年目で初めて。ブルペンでは、シーズン中には珍しく新球を試すなどもがき苦しんでいた。5試合目の登板は、流れを変えようと帽子とスパイクを変更した。前日13日には4年目の岩崎がプロ初勝利。「絶対に勝つんだという目をしていた。あの目を見せられたら…」。9年前に挙げた初白星を思い出し、投げ込んだ。

 これでローテーション投手6人全員に白星がつき、秋山監督は「バランスといい球のキレ、コントロールも素晴らしかった」とひと安心。エースが圧巻の完封劇で、首位独走への号砲を鳴らした。【倉成孝史】