阪神が29日、野球評論家の有田修三氏(60)にヘッドコーチ就任を要請した。有田氏が受諾し、近日中に正式契約を交わすことが分かった。和田豊新監督(49)の参謀役として経験豊富な有田氏が適任と判断された。主要ポストの人選が固まり、和田阪神の陣容が見えてきた。

 阪神が60歳のベテラン評論家に参謀役を託すことになった。29日、有田氏にヘッドコーチ就任を要請。有田氏も受諾し、近日中に正式契約を結ぶ運びとなった。和田政権の主要ポストが固まった。

 28日に誕生した和田新監督は10年に及ぶコーチ経験こそあるが、監督は未経験で采配を振るうのは初めて。サポート役のヘッドコーチは極めて重要な位置づけで、新監督の意向も取り入れながら、球団フロントは慎重に人選を進めてきた。過程で吉竹2軍監督や片岡打撃コーチらの昇格案が浮上したが、最終的に経験豊かな有田氏に絞った。

 有田氏は現役時代は名捕手として近鉄や巨人、ダイエーを渡り歩いた。引退後は指導者の経験を積み、92年から95年まで阪神のバッテリーコーチを務めた。このとき、和田監督はチームの主力で、同氏とも交流があった。11歳の年の差はあるが、組閣の問題にはならない、と球団側は判断した模様だ。

 ユニホームを着るのは実に12年ぶりとなるが、評論家としてネット裏から阪神の試合を熱心に見てきた。チームの特徴は頭にインプットされており、秋季キャンプなどを通して、さらに選手の詳細を把握していくことになる。

 前日28日には大阪市内のホテルで和田新監督を交え、組閣会議を行った。この日は指揮官不在だったが、西宮市の球団事務所で南球団社長らフロント陣が会合を持った模様だ。沼沢球団本部長は取材に応じ、「和田体制を1日も早く作り上げていこうとしている。人事については、こちらから何も申し上げることはない」と話した。真弓監督の辞任により、新体制発足を急いできたが、ヘッドコーチという中枢ポストが固まったことで、一気に1軍スタッフの陣容が見えてきた。