<中日3-2西武>◇19日◇ナゴヤドーム

 中日高木守道監督(70)は、ヒヤヒヤの交流戦初勝利に胸をなで下ろした。8回に1点差に追い上げられ、9回は守護神岩瀬が2死三塁のピンチを招いた。最後は代打米野を遊飛に打ち取り、リーグ首位をキープ。こわばっていた高木監督の表情が、少しだけ和らいだ。

 「初勝利?

 まだ3試合やないの。最後は(ファンを)ヒヤヒヤさせたけど勝って良かった」

 高木監督はこの日、走塁判断やサイン伝達ミスを問題視していた平野コーチを2軍へ配置転換。一塁コーチだった渡辺コーチを三塁コーチに回し、前日18日にコーチ登録した上田コーチを一塁コーチに据えた。試合前、平野コーチについて「私がずいぶんと怒鳴りつけたもんで、彼も少し迷いなんかが出てきた。彼も精神的に参っていたし、これは私の責任。来月初めには上(1軍)に戻ってきてもらう」と話していた。

 選手もコーチも気が抜けない緊張感の中、注目のシーンがあった。2-0の6回1死二塁で森野が右前打を放った場面だ。渡辺三塁コーチは、走者大島が三塁ベースを駆け抜けたところで両手を広げてストップさせた。次打者の4番和田は併殺に倒れてこの回得点はならず、結果的に判断は裏目に出た。高木監督はあくまでも辛口だった。

 「あれは多少、(これまでの流れの)尾をひいとるね。(右翼手が)後ろに下がとったし、来れんこともなかったけど、彼も少し意識したかな」

 ドタバタの末に1点差勝ち。高木監督は1週間ぶりの勝利に表情を引き締めていた。【桝井聡】