<西武5-2オリックス>◇23日◇西武ドーム

 「謹慎」処分から復帰した西武涌井秀章投手(26)が、5月16日のDeNA戦(横浜)以来38日ぶりとなる3セーブ目を挙げた。5-2で迎えた9回に登板し、3者凡退に仕留めて2試合連続無失点に封じた。「涌井効果」もあり、最重要課題だったリリーフ陣が2試合連続無失点リレーで勝利へとけん引。5位と低迷するチームにとって浮上のきっかけとなりそうだ。

 ミスターチルドレンの名曲「Tomorrow

 never

 knows」の登場曲に乗って、涌井が本拠地のマウンドに帰ってきた。3点リードの9回表。今の心境を代弁するような曲。ファンの大歓声。投じた13球すべてに思いを込めた。最速147キロ直球で早めに追い込み、切れの良いスライダーで打たせて取った。9回2死。最後は日高を133キロスライダーで空振り三振に仕留め、38日ぶりにセーブを挙げた。

 派手なパフォーマンスはない。「昨日より落ち着いて投げられました。3人で終わって良かった」。いつも通り、淡々とした口調で話した。1軍復帰した22日のオリックス戦(大宮)から2連投で無失点に抑え、守護神の仕事をきっちり果たした。

 準備は万全だった。2軍での実戦復帰が決まった16日、渡辺監督は19、21日の中1日での復帰プランを立てた。だが涌井が連投志願。「実戦への不安というより、1軍に上がれば必ず連投がある。連投に対して体がどうなるか見たかった」と、1軍でのフル回転を見据えていた。

 1カ月間のファーム調整期間中、最も心掛けたのはパフォーマンスの維持だった。「いつ上がってもベストが出せるように。降格前の状態は良かったですし、それをいかに維持できるかを考えた」と言う。ショートダッシュ、ロングダッシュを曜日ごとに取り入れ、状態をキープすることを徹底させた。

 渡辺監督も胸をなで下ろした。「うちの最重要課題のリリーフ陣が昨日、今日のようにやってくれると野球が締まる」と、2試合連続、救援陣無失点リレーに手応えを示した。チームは22日から11連戦に突入。カギを握る守護神は「11連投までいかないが、投げられるまで投げたい。点を取られても、打たれても、逆転されなければいい」。涌井の復活が上昇への原動力になる。【鳥谷越直子】