<広島2-3阪神>◇26日◇マツダスタジアム

 いまの今村なら、正念場も安泰じゃ。広島今村猛投手(21)が26日阪神戦(マツダスタジアム)で、自己最速の154キロをマークした。3者連続三振に打ち取り、剛腕ぶりを見せつけた。試合は1点差で惜敗したものの、クライマックス・シリーズ(CS)争いが過熱する今後、剛球右腕が頼もしい。

 だれも寄せ付けない!

 ド迫力の投球だった。1点ビハインドの9回、4番手でマウンドに立ったのはセットアッパー今村だった。逆転勝利のために送り出された右腕は、うなるストレートで、ベンチの期待に十二分に応えた。

 先頭新井良を150キロの速球で空振り三振。俊介は152キロのストレートでこれも空振り三振。圧巻は坂への4球目だった。ファウルになったボールは自己最速の154キロを記録。最後はやはり150キロのストレートで見逃し三振に斬り、攻撃への流れをつくるミッションを完遂した。

 今村

 ボールのキレとかの手応えはあります。何も変えてはいないけど結果がついてくれば。154キロ?

 疲れがある日もあってスピードはばらつきがあるけど、あまりスピードは気にしていません。

 9回裏は阪神の守護神藤川に封じられたが、指揮官もその働きをたたえた。

 野村監督

 今村だけじゃないけど、選手のなんとかひっくり返すんだという気持ちを、少なくとも去年以上は感じている。それがボールに伝わったり、打席に表れていると思う。負けたのは悔しいけど、意地は見せてくれた。

 今村は29試合連続無失点の球団記録を作った後、18日の巨人戦で4失点するなど調子を落としていた。ブルペンで体重移動やリリースポイントの確認などの修正を施し、徐々に復調。球団史上初のCS進出を目指し、これからが正念場。勝利に直結する右腕の復調は頼もしい限りだ。

 これから待っているのは、ライバルたちとしのぎを削るギリギリの戦い。試合終盤を任される救援陣の存在は重い。今村が見せた抜群の球威は、連勝が3でストップした中でもキラリと光る光明だった。97年以来のAクラス入りに、厳しいペナントレース最終盤も、その剛腕が守りきる。【高垣誠】