新助っ投候補は井川、松井のマブダチ!

 阪神が沖縄・宜野座キャンプで新外国人候補をテストすることが22日、分かった。台湾リーグ・ラミーゴの右腕マット・デサルボ投手(32)で、かつてのエース井川(現オリックス)とはヤンキース時代にライバルであり友人だった逸材だ。メッセンジャー、スタンリッジに続く第3の先発助っ投候補として首脳陣のチェックを受ける。トラの大型補強はまだ終わらない。

 虎入りを狙う男は、日本でも聞き覚えのある右腕だった。阪神が2月、沖縄・宜野座で新助っ投候補をテストする。その名もマット・デサルボ。名門ヤンキースでは井川を“蹴落として”先発マウンドに上がったこともある右のオーバーハンドだ。

 8年ぶりのV奪回へ、球団はまだ戦力強化の手綱を緩めてはいなかった。高校3冠投手藤浪をドラフトで獲得し、西岡、福留にコンラッド、日高…。これでもかと大補強を続けてきたが、一切の妥協はしない。次の補強ポイントは先発陣だった。

 大黒柱の能見に岩田、メッセンジャー、スタンリッジが4本柱。先発転向する榎田に復活を期す安藤も。若手なら岩本に秋山にルーキー藤浪に…。一見盤石に思える布陣にも、不安点はある。

 2年連続2桁勝利のメッセンジャーはともかく、スタンリッジは11年が9勝、昨季は7勝12敗と、1年間を通して安定しているとは言い難い。両投手の尻に火をつける意味でも、第3の助っ人先発は検討する価値があるというわけだ。

 南信男球団社長は「テストするというのは聞いている。その選手が良ければ取るのか、3、4月にロースター漏れした選手を取るのか。どっちもというわけにはいかないので、そこを整理しておいてくれとは(編成部門に)言っておいた」と説明した。2月上旬から1軍キャンプに参加し、数日間の練習で合否を判断。実力不足と判断すれば獲得を見送り、開幕前後にメジャー枠から漏れた投手を狙う。いずれにせよ外国人投手の補強は進める方針だ。

 南社長は名前を明かさなかったが、すでにテストする投手は一本化している。デサルボは07年にヤンキースでメジャーデビュー。米国では成功を収められなかったが、台湾に渡ってようやく花開いた。昨季は台湾・ラミーゴ桃猿に所属。28試合登板で11勝6敗と大活躍した。リーグ最多の137奪三振、同2位の防御率2・77を記録し、元ヤクルトの統一・鎌田らと投手タイトルを争った。

 ヤンキース時代の07年には現オリックス井川と入れ替わりでメジャー昇格を果たした。ライバルでありながら井川とは友人関係。松井秀喜氏のフリー打撃に登板する機会もあった。日本に、タテジマに縁のある男がジャパニーズドリームをつかめるか。元ヤンキース右腕が一世一代の勝負をかけ、阪神の大補強戦略に割ってはいる。<マット・デサルボという男>

 ◆生まれ

 1980年9月11日、米ペンシルベニア州生まれ。ユニオン高校、マリエッタ大学を経て03年にヤンキース入団。

 ◆松井の相棒

 07年春のヤンキース・キャンプでは松井秀喜の打撃練習で投球。調整に一役買った。

 ◆井川を蹴落とし

 メジャーデビューも07年。5月7日に不振の井川に代わって昇格。井川が自身のブログで、ファンのサイン攻めに真摯(しんし)に応じるマット・デサルボの姿を紹介したこともある。

 ◆イチロー、城島斬り

 メジャー2度目先発の5月12日マリナーズ戦で7回途中2失点で初勝利。イチローと城島にはそれぞれ3打数1安打。

 ◆マイナー成績

 03~10年まで米マイナーで通算163試合に登板、40勝47敗4セーブ、防御率3.96。11年は米独立リーグ・ヨークに所属し7勝3敗。12年は台湾リーグ・ラミーゴでプレー。

 ◆サイズ

 180センチ、90キロ。右投げ右打ち。