<オープン戦:巨人7-5ソフトバンク>◇2日◇東京ドーム

 主導権は、巨人宮国椋丞投手(20)の手中にあった。146キロ直球から、100キロ前後のカーブまでテンポよく、さまざまな球種でストライクを稼ぐ。1、2回と打者1人あたり4球以下で片付けて19球で完了。3回にボール先行からの直球を中村に餌食にされて1発を食ったが、4回は芸術の域だった。松中は直球、ペーニャはスライダー、ラヘアはスローカーブでクリーンアップを3者連続三振。「投げるたびに感覚が良くなった。それを初回からできるようにしないと」。理想が高いからこそ、満足はできなかった。

 20歳の宮国に求められているハードルは高い。それは原監督が開幕投手の最有力に宮国を位置づけ、第2戦にルーキー菅野という構想を練っているからだ。本来なら内海の大役。だが原監督は「WBCに行く3人(内海、杉内、沢村)には登板日は伝えてある」と言う。前回大会で連覇を達成した指揮官は、大会後の選手の疲労を肌で感じている。だからこそ、侍ジャパンの3投手は広島との開幕3連戦の先発構想から外した。それができるのも、開幕投手を務められる資質が宮国に備わってきたからだ。

 前回登板の2月23日楽天戦は3回1安打無失点ながら2四球と低調だった。同25日にはブルペンでプロ入り後、最多となる210球の投げ込みを敢行。「上と下のバランスを意識して投げた」。その課題を、この日の投球で表した。

 原監督の目にも成長が映る。「バランスがよくなっている。(開幕3連戦の登板は)まだ先だし、早いでしょ。でも(現状で)ホールトンよりいいね」。宮国は「そこに関しては特に意識していない」と冷静さを貫いた。今、集中するのは理想のパフォーマンスに近づけること。「前回より制球が良くなった。でも求めているバランスは来ていない。残り試合でやっていきたい」。巨人では戦後、最年少だった88年の桑田に次ぐ、20歳での開幕投手という大役を宮国が担う。【広重竜太郎】