日本ハムのドラフト1位ルーキー大谷翔平投手(18=花巻東)が“ON級の目”と、べた褒めされた。4日、東京都内のホテルで行われた12球団新人選手研修会に出席。「話し方、インタビューへの対応」という講義で講師を務めた元ニッポン放送アナウンサーの深沢弘氏(77)に、相手の目を正面から見据えて動かさない姿勢を絶賛された。長嶋、王の名前も出た「スーパースターの目」を二刀流プレーで生かしていく。

 例年“辛口”で知られる元アナウンサー深沢氏を、大谷は目でメロメロにした。インタビューへの対応を実践する講義。理想の選手像を聞かれ「僕もそうだったですが、プロの選手を見て野球を始めたし、格好良いなと思いました。子どもたちに、そういう風に思ってもらえる選手になりたいです」と模範解答した直後だ。「文句ない。一番いいのは目を見て話すところ」と、お褒めの言葉をもらった。

 これまで日本ハムでは中田や斎藤、高校の先輩にあたる西武菊池らが「敬語がなってない」「声が小さい」などとダメ出しを受けてきた。だが、深沢氏は「菊池雄星先輩とはえらい違いだ。明るいし、都会的な感じ。雄星くんはかわいらしい、いなかっぺな感じだったから」と比較した上で絶賛。特に相手の目をとらえて放さない純粋な瞳に「あんなに優しく、しっかり見る選手はなかなかいない。長嶋さんは見ていたね。あ、王さんも見る」と、取材を通して親交のある往年の大スターの名を出し、大谷の大物ぶりにあらためて驚いた。

 「スーパースターの目」について、壇上で「親のしつけ?」と問われた大谷は「そんなに言われたことはないんですけど…」と返答。講義後には「意識はしていないけど、(インタビューなどを高校から)数多くやってこれてよかったです」と、場数を踏んできたことだと自己分析した。さらに「野球でも生きてくれたらいいなと思います」。グラウンドでは相手を威圧し、動きを洞察する鋭い目として、ON級の活躍を目指していく。

 約4時間半の講義の間、1度もトイレに立つことはなく、最後まで集中した。「貴重な話が聞けて良かったです。トイレ?

 それは大丈夫でした。でも、おなかがすきました」。18歳の普通の青年の目で、ハニカミながら笑った。【本間翼】

 ◆過去の主な新人研修会「話し方、インタビューへの対応」

 08年には日本ハム中田がインタビュー想定の実習で、深沢氏から「『○○っす』という話し方は注意しないといけない。言葉の品格というものがある」と一刀両断された。10年には、西武菊池が巨人長野と模擬インタビューを受け「内容は最高だが、もっと大きな声で」と指摘を受けた。11年の日本ハム斎藤は、一緒に登壇した巨人沢村と比較され「沢村君は最高。斎藤君より深みがある。斎藤君は悪くないけど用心深くなっている」とダメ出しされた。