<広島0-4阪神>◇7日◇マツダスタジアム

 初めて5番打者を任された阪神今成亮太捕手(25)がプロ初の4安打と大暴れだ。チームの23イニング連続無得点が続いていた難敵マエケンに、2回の第1打席から襲いかかった。速球で追い込まれた後、118キロのカーブを引きつけて三塁線を抜いた。口火を切るチーム初安打だ。

 「どの球種も一級品だし、甘い球は少ないので、ガンガンいってやろうと思っていました」

 148キロの速球をファウルでしのいだ後に、緩い球をとらえることができる。チームでも屈指の打撃センスを発揮した。4回には三塁手堂林がやや下がっていると見るや、絶妙のセーフティーバントを決めた。1点リードの9回には守護神ミコライオの直球を左翼フェンスにぶち当てる二塁打。だめ押し3点のきっかけをつくった。

 「あまり5番というのは気にしませんでした。だれが投手であろうと、自分にできることをやろうという気持ちでした」

 グラウンドでの真剣な表情の一方で、プレーを離れれば、多彩な芸で周囲を笑わせ盛り上げるムードメーカーの一面を持つ。技術、冷静な判断力に加えて、元気も武器だ。

 「非常に元気だね。やっと、これという選手が出てきたんでね」

 和田監督が言った。福留の離脱で“弱点”となっていた右翼のポジションを任せられる選手が出てきた。指揮官の頭痛のタネもこれで解消されるかもしれない。首位追走態勢の猛虎の中で、今成が熱い。【鈴木忠平】