野球日本代表「侍ジャパン」の新監督に、巨人、ソフトバンクでプレーし昨季限りで現役引退した小久保裕紀氏(41)の就任が内定したことが2日、分かった。日本野球機構(NPB)は17年に予定されているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での王座奪回を最終目標に常任監督を置くことを決定。大幅な若返りが予想されるチームと同様、フレッシュな指揮官にチーム作りを任せる方針を固め、小久保氏に正式に就任を要請した。近日中に正式発表される見込みだ。

 侍ジャパン史上最年少、41歳の指揮官が誕生する。初の常任となる新監督に小久保氏の就任が内定した。若さも異例だが、監督未経験者という点でも大胆な人選といえる。新生・日本代表は小久保氏のもとで世界一奪回へ向けて、第1歩を踏み出すことになった。

 王監督、原監督、山本監督と、過去のWBCでは12球団の監督経験者が侍ジャパンを率いた。しかし、現役監督が常任の代表監督を兼務することは負担の大きさから事実上不可能。山本監督のようなベテラン監督に任せる選択肢もあったが、4年後を見据える代表の顔触れは大きく若返る可能性が高い。NPBは再出発するチームのイメージにふさわしいフレッシュな人材に着目。監督経験にはこだわらず40代の候補者を複数リストアップし、最終的に小久保氏に絞り込んだ。

 昨年限りで現役を引退したばかりで、コーチ経験もない小久保氏だが、そのリーダーシップは誰もが認めるところ。長期間在籍したソフトバンクだけでなく、巨人時代にも生え抜き以外では初めてとなる主将を務めたこともある。リストアップの段階では、経験の少なさを不安視する意見もあったが、指導者としての将来性に期待する声が上回った。

 関係者によれば、NPBでは監督初経験となる小久保氏をもり立てる体制作りも並行して進めている。長期的な視野に立って、編成面で強化に取り組むGMのような役職を検討している。小久保氏の就任となれば、初代世界一監督のソフトバンク王貞治球団会長も、積極的にサポートしていくのは間違いない。巨人原監督と山本浩二氏の両歴代監督にもアドバイザー的な役割を要請する可能性もあるという。まさに球界が一丸となって「小久保ジャパン」を支えていく構えだ。

 NPBは正式に小久保氏に就任を要請し、この日までに内諾を得たとみられる。細部を詰めて近日中に発表される見込みだ。11月の開催を目指す台湾代表との親善試合が正式に決まれば、小久保監督の初陣となる。

 ◆小久保裕紀(こくぼ・ひろき)1971年(昭46)10月8日、和歌山県生まれ。星林-青学大。92年バルセロナ五輪で銅メダル。93年ドラフト2位でダイエー入団。2年目の95年に28本塁打で本塁打王、97年打点王。03年オフ、異例の無償トレードで巨人移籍。07年にFAでソフトバンク復帰。11年日本シリーズで40歳1カ月の史上最年長MVP。通算2057試合、7474打数2041安打、413本塁打、1304打点、打率2割7分3厘。昨年限りで引退し、今年はNHKなどの野球解説者。