中田君よ、一緒に日本一になろう!

 阪神は17日、中日からFA宣言した中田賢一投手(31)と名古屋市内のホテルで初めて交渉を行った。中村勝広GM(64)は「日本一になるため力を貸してくれ」と熱烈なラブコールを送った。4年総額で約6億円の契約を提示した模様で、背番号18も用意。ソフトバンクが有力視されるなか、ひるまずにアタックした。

 高級中華を前に、中村GMは中田賢への熱い思いを伝えた。

 「今シーズン、打倒巨人を合言葉に戦って、この結果に終わった。来年は、そこを飛び越えて日本一になりたい。あなたの力を貸してください」

 約1時間半のランチ交渉を終えると中田賢が目の前の白いナプキンを丁寧に折りたたむ。この様子を見ていた中村GMは「なかなかきちょうめん。絶対に来てほしい感は、さらに強くなりました」と目尻を下げた。07年に自己最多14勝をマーク。かつて「虎キラー」として鳴らした剛腕スタイルを高く評価するからこそ、最大限の誠意を示す。

 FA交渉解禁日だった15日に速攻アタックしたソフトバンクと同等の4年6億円程度の好条件を提示した模様。さらに背番号18も用意した。和田監督が先発で起用する構想も確認し、ラブコールを連発。中田賢を巡るFA市場では、福岡出身でもあり、地元ソフトバンクが優位とされているが虎はひるまず全力でぶつかった。中田賢も「2球団とも身に余る評価をしていただいて、いろいろ悩んでいくと思います」と揺れる胸中を明かした。

 阪神の来季先発陣はメッセンジャー、能見、藤浪の3本柱こそ確定的だがスタンリッジの退団が決まり、久保もFA宣言して去就が定まらず、4番手以降が手薄な状況。中村GMも「マウンド度胸が満点の投手。甲子園にふさわしい投球スタイルだと評価している。非常にクレバーな選手。甲子園の雰囲気で、背番号18が躍動する姿が夢に出てくるよう」と熱弁を振るうなど、理想の補強になる。

 獲得の感触について、中村GMは「何とも言えませんね。五分五分だよ」と苦笑いを浮かべた。中田賢はヤクルトなど獲得を名乗り出る全球団と交渉してから結論を出す姿勢のため、明確な意思表示を避けたが、虎の本気を感じ取ったのは確かだ。

 「来てほしいという気持ちをずっと伝えていただいた。(甲子園は)敵としてプレッシャーのあるマウンドですが、味方ならすごくやりやすい球場。すごくいい環境だと思う。自分がどこで投げたいか。(移籍先は)その一番の気持ちがあるところです」

 宿敵打倒巨人、そして29年ぶりの日本一へ。阪神は最善を尽くし、朗報を待つ。【酒井俊作】