<オープン戦:オリックス5-8楽天>◇12日◇京セラドーム大阪

 楽天の激しい外野手争いに、4年目の榎本葵外野手(21)が名乗りを上げた。「1番中堅」でスタメン出場すると、1回、オリックス岸田の初球138キロをライナーで右翼席へ運んだ。「とにかく、初球のストレートをフルスイングすると決めていました」と狙い的中の先頭打者本塁打を決めた。オープン戦のスタメンは4試合目だったが、ここまで無安打だった。やっと起用に応えた。

 星野監督も注目する若手だ。昨季は8月25日ロッテ戦でサヨナラ打を放ち、プロ初打点。初優勝に貢献する一打を放ったが、星野監督の評価は低かった。「パワーがない」とシビアに分析されていたが、今季は変わりつつある。キャンプのフリー打撃で、バットの芯で捉える当たりが出始めた。ついには、星野監督も「飛ぶようになった」と自ら話題にするまでになった。

 きっかけは、平石打撃コーチの助言だった。2年目から後ろにタメをつくる打ち方にしていたが、投手寄りに体重を残すようにした。後ろ軸ではなく前軸で打つ、入団時の形に戻した。プロ1年目の11年は、平石コーチの現役最終年。2軍で一緒に汗を流した同コーチの「以前のフォームの方がいいのでは」の一言で、生まれ変わった。

 2打席目からは、変化球に合わず4打席凡退が続いた。榎本は「もう1本、打ちたかった。僕は結果を残すしかないです」と悔しがったが、先頭の初球本塁打は十分なインパクトがあった。「外野手争いが激しくなるか」の質問に、星野監督も「そうだな」とニンマリだった。【古川真弥】

 ◆榎本葵(えのもと・あおい)1992年(平4)7月24日生まれ。川崎市出身。後に松井裕もプレーした青葉緑東シニアから九州国際大付に進学。2年夏に甲子園出場。俊足と広角打法で「九州のイチロー」と呼ばれた。10年ドラフト4位。昨季まで通算29試合4安打2打点。179センチ、78キロ。左投げ左打ち。

 ◆楽天の外野手争い

 現状では、左翼枡田、中堅聖沢、右翼岡島がレギュラー扱いだが、開幕時にだれが定位置を奪うか、予断を許さない。昨季はDHか一塁だったジョーンズが外野守備に意欲を見せている。新加入の後藤も、本職の内野に加え左翼を守る。パンチ力のある牧田は、この試合で2ラン。俊足堅守の森山もいる。2軍には、故障明けの島内が控える。