<パCSファイナルステージ:ソフトバンク4-1日本ハム>◇第6戦◇20日◇ヤフオクドーム

 恐怖の7番打者だ。ソフトバンク吉村裕基外野手(30)がCSのMVPに輝いた。1点を先制した4回、なおも2死一、三塁。高め直球を振り抜くと、右翼の前へポトリと落ち、2点目の適時打となった。

 「2ストライクに追い込まれていたので、うまく右に持っていくことができた。MVPは大隣と思ったけど、(初戦の)サヨナラ打が評価されたと思う。昨日の負けを引きずることなくいけた」

 大一番。球場入り時には「勝ったら甲子園。高校球児と一緒」。阪神が待ちかまえる日本シリーズへの挑戦権を高校野球の地区大会決勝にたとえた。

 CSは全6戦にスタメン出場。うち4戦で安打、打点をマークした。6打点はチームトップ。第1戦はサヨナラ二塁打、第4戦は決勝点で2度ともお立ち台に上がる大活躍だった。今宮、細川の悪送球で落とした試合もあったが、一塁を守っていた吉村も後逸を悔やんでいた。第4戦から指名打者。「代打のつもりでいったのがよかった」といい方向へ進んだ。

 DeNAから移籍2年目。味わったことのない厳しい優勝争い中で抜群の集中力を見せた。移籍後、常に打撃指導してくれた秋山監督は今季限りで辞任する。「最後、胴上げ、日本一になりたい」。次は初めて出場する日本シリーズで高校球児のようにフルスイングする。【石橋隆雄】