【ホノルル(米ハワイ州)11日(日本時間12日)=本間翼】日本ハムにドラフト1位で入団する花巻東・大谷翔平投手(18)の「二刀流」プランの骨格が、明らかにされた。日本ハムの一行は優勝旅行の滞在先となる当地に到着した。栗山英樹監督(51)は、大谷の野手起用について遊撃手とする構想を披露。「イメージはA・ロッド」と、メジャー通算647本塁打のアレックス・ロドリゲス内野手(37=ヤンキース)の名前を挙げて、エース兼遊撃手として育てたいとの意向を示した。

 ドラフト1位の大谷に用意された「エース兼4番」の夢プランには、驚くような続きがあった。常夏の風にリラックスムードの栗山監督だったが、目は真剣だ。「野手だったらショートをできる。ケガさえしなければ結果は残せる選手。こういう(大きな)体の選手がショートをできれば、野球が変わる」。193センチの大谷を、遊撃手に挑戦させる考えを明かした。

 最速160キロをマークする剛腕は、高校通算56本塁打の超高校級スラッガー。日本ハムは投打両面で育成する方針を明かし、野手でのポジションは花巻東でも兼任した外野手が有力とみられていた。だが、スポーツキャスター時代から取材対象として近くでプレーを見てきた栗山監督は、大型内野手としての資質があると感じていた。

 投手として球速がクローズアップされがちだが、栗山監督は「スナップスローがうまいんだよ。変な体勢になってしまったときも(送球が)すごい」と、フィールディングが“天下一品”だと認める。大谷は高校時代に遊撃手の経験はないが、岩手・水沢南中時代に所属した一関シニアでは投手兼遊撃手だった。花巻東・佐々木洋監督(37)は「内野も軽やかだった。中3の時に190センチ近くあったけど、本当によく動ける」と、当時を振り返ったことがある。遊撃手としての経験は少ないが、栗山監督は「投手のノックを受けていれば問題ない。あとは距離感だから」と不安を一掃するかのように話した。

 栗山監督の脳裏にこびりついて離れないシーンがある。2年夏に出場した甲子園での帝京(東東京)との初戦で大谷は、外角のボールに逆らわず、左翼フェンス上段にぶち当てた。「高校生であんな打撃をする選手はいない」。大きな体をうまく使い、逆方向にも長打が打てる。「左右の違いはあるけど、イメージはA・ロッド」。マリナーズ時代は大型遊撃手として活躍し、通算647本塁打、5度の本塁打王を獲得しているロドリゲスの姿を重ね合わせた。

 日本ハムの遊撃は、来季38歳になる金子誠が、ケガを抱えながらもレギュラーを務めているポジション。大谷の遊撃手構想がはまれば、チームの未来も明るいものになる。