プロレス界の輝く女性たちを紹介するコーナー4回目は、元吉本芸人の東京女子プロレス中島翔子(28)。この5月、デビュー7年目にして団体の顔といえるプリンセス・オブ・プリンセス王座を初戴冠。「147センチの大怪獣」として、さらなるレベルアップに励んでいる。【取材・構成=高場泉穂】

「147センチの大怪獣」こと東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者中島翔子
「147センチの大怪獣」こと東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者中島翔子

元吉本芸人の中島が自ら衝撃の事実を切り出した。「最近(吉本興業の)騒動があって思い出したんですけど、デビュー戦は“闇営業”だったんです」。高校卒業後、NSCを経て芸人としてデビューしたものの半年で1回のペースで相方が変わるさえない日々。そんな中、先輩芸人に連れられ女子プロレスを観戦し、心がうずいた。旗揚げ間近の東京女子プロレスが選手募集しているのを見つけ「芸の肥やしになればいい」と軽い気持ちで入門した。

「デビュー戦(13年8月)が決まってから事務所に事後報告したんですよ。そうしたら問題になって…。ダブル所属するための話し合いをしていたんですが、プロレスを頑張っても吉本にファイトマネーが吸収されてしまうと思って、きっぱり芸人はやめました」。雪国生まれで長くクロスカントリーをやっていたからか、「運動神経もスタミナも問題ありませんでした」。13年末から東京女子プロレスに専属所属。147センチと小柄ながら派手なムーブで沸かせる中心選手として、団体を引っ張ってきた。

デビュー7年目となる今年、大きな出来事が2つあった。1つは5月に団体の不動のエース山下実優を下し、初のシングル王者となったこと。団体の顔であるプリンセス・オブ・プリンセス王者となり、既に1度防衛したが「まだ実感はわかない」。9月1日には挑戦者瑞希との2度目の防衛戦が待つ。「瑞希は自分よりプロレス経験が長く、華がある」と弱音を吐きつつも、「王者としてやりたいことがあるのでまだ負けるわけにはいかない。自分の土俵に持ち込めばいける」と必勝を約束した。

もう1つは初の海外リングの経験。7月に米国AEWに初参戦。物おじしないファイトで米国ファンを沸かせた半面、反省も多かった。「試合をしながら『足りないな』と感じました。体力もそうだし、技術面でも引き出しが圧倒的に少ないと思った」。試合後にはAEW副社長を務めるケニー・オメガにもアドバイスをもらったという。「『ここはいいけど、ここはすごくダメ』と改善点を指摘してもらった。そこを直したら、もっと上にいけると思えた。収穫がいっぱいありました」。

夢はもっと「あぶないこと」をできる選手になること。トランポリンや床運動で跳躍を磨き、さらに最近は空中感覚を鍛える特別トレーニングも開始。「147センチの大怪獣」はさらに進化する。

東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者中島翔子
東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者中島翔子

◆中島翔子(なかじま・しょうこ)1991年(平3)7月19日、新潟県津南町生まれ。高校卒業後、上京し、吉本興業の養成所NSC入り(16期生)。芸人活動中にプロレス観戦したのをきっかけに13年東京女子プロレスに入団。13年8月のDDT両国大会でプロレスラーデビュー。得意技はノーザンライト・スープレックス。147センチ。