宣言通りの大番狂わせを起こせるか。4月24日に沖縄コンベンションセンターで元WBC世界フライ級王者で、WBOアジアパシフィック・バンタム級王者の比嘉大吾(25=Ambition)に日本スーパーバンタム級6位の西田凌佑(24=六島)が挑む。

4戦目で元世界王者比嘉に挑む西田
4戦目で元世界王者比嘉に挑む西田

西田のプロのキャリアはまだ3戦(3勝無敗=1KO)。相手はキャリア豊富な元世界王者で、西田にとっては敵地となる沖縄での試合となる。常識的に考えて、完全に不利の見立てだが、指導する武市トレーナーは「キャリアは雲泥の差があるが、みなさんが思っている以上にあっと言わせる。沖縄の皆さんは比嘉選手の凱旋(がいせん)を楽しみにしていると思うが、会場を静まらせる自信があります」と言った。

その根拠は西田の「脚」にある。比嘉は17勝(17KO)1分け1敗で、勝利はすべてKO勝ちというバリバリのファイター。強打を認めた上で、それを不発に終わらせれば勝機が見えてくる。西田は奈良・香芝中時代、陸上部に所属。3000、1500、800メートルを主戦場にしていた。1500メートル4分30秒の走力が、大どんでん返しを起こす可能性だ。

意外に「走るのは嫌いです」と言い切るが、「スタミナは自信があります」。右利きのサウスポー。比嘉の突進をうまくかわしてパンチを当てていけば、大金星も夢物語ではない。

「4戦目でチャンスをもらえた。相手は比嘉選手でモチベーションは上がっている。こんなチャンスはめったにない。素直にうれしい。しっかり練習してベルトを持ち帰りたい」

15年、近大時代の西田凌佑(後列右から3人目)。後列左端は名城信男ヘッドコーチ、同左から3人目は赤井英和総監督
15年、近大時代の西田凌佑(後列右から3人目)。後列左端は名城信男ヘッドコーチ、同左から3人目は赤井英和総監督

近大ボクシング部時代は、元WBA世界スーパーフライ級王者の名城信男監督(39)に鍛えられた。比嘉との対戦が決まると、ラインで報告。「1日も無駄にせず、集中するように」と返信があり、引き締まった。比嘉に勝てば世界ランク入りは確実。夢物語は大きく膨らむ。

ちなみに。近大といえば今、プロ野球阪神に入団して大活躍の佐藤輝明選手が欠かせない。「刺激になってます」などの答えを求めて西田に振ったところ、「えっ、そうなんですか?」って、知らんのかい。佐藤輝、まだまだやな。西田が比嘉に勝って、世界への挑戦権を得て、「近大」の代表格に躍り出るか。楽しみしかない。【実藤健一】

◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ)1996年(平8)8月7日、奈良県香芝市出身。香芝中は陸上部、王寺工からボクシングを始める。同校3年時、国体フライ級少年の部で優勝。近大をへて19年10月にプロデビュー。戦績は3勝(1KO)無敗。身長170センチの左ボクサー。

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)