長く第一線で活躍している証明の記録と言えるだろう。WWEの「野獣」ブロック・レスナー(44)が今年1月、WWE記録を2つ塗り替えた。1月1日のプレミアム・ライブイベント、DAY1大会(米アトランタ)で、約2年2カ月ぶりに同級王座に返り咲き、「超人」ハルク・ホーガン(68)を超える「最長期間王者」となった。

今年1月に2つのWWE新記録を樹立した「野獣」ブロック・レスナー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
今年1月に2つのWWE新記録を樹立した「野獣」ブロック・レスナー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

02年8月、サマースラム大会でザ・ロックを下して同級王座を初めて獲得してから6度目の戴冠。今回の王座獲得で、19年間、WWE最高位王座に絡んできたことになる。前身王座を含めた初奪取から最新奪取までの最長期間は、ホーガンの18年間だった。84年1月にアイアン・シークを下してWWF世界王座を初めて獲得し、02年4月にトリプルHを撃破して同王座を手にしたホーガンの記録。レスナーが19年ぶりに更新した。

新日本プロレスの至宝IWGPヘビー級王座の初奪取から最新奪取の最長記録は武藤敬司、棚橋弘至による12年間。19年間という長期間、トップ団体の最高位王座に絡み続けることは簡単ではない。当時の史上最年少記録(25歳)でWWEヘビー級王座を獲得し、3年間活動したUFCでもヘビー級王座を奪取。IWGPヘビー級王座の獲得経験もあるレスナーは、ホーガンの愛称「超人」の領域に達しているとも言える。

1月29日のロイヤルランブル大会(米セントルイス)では、WWEユニバーサル王者ローマン・レインズの介入の影響で、挑戦者ボビー・ラシュリーに敗れて王座陥落した。しかしメインイベントで組まれた30人出場の時差式バトルロイヤル、男子ロイヤルランブル戦に30人目で緊急出場。2分32秒で全員をリングから排除し、03年以来19年ぶり2度目の制覇を果たした。この19年間のブランクも、トリプルHの14年間(02年→16年)を更新する2つ目のWWE新記録となった。

今月19日、サウジアラビアで開催されるエリミネーション・チェンバー(EC)大会ではWWEヘビー級王座挑戦が決定済み。6人が4つの小部屋が設置されている金網に覆われたリングで激突するEC形式王座戦で、挑戦者の1人として王者ラシュリーに挑む。既にロイヤルランブル覇者が獲得できる最高位王座への挑戦権を行使し、4月のレッスルマニア38大会(米ダラス)でユニバーサル王者レインズへの挑戦が決定。WWEヘビー級王者に返り咲けば、年間最大の祭典での王者対決が実現する。44歳のレスナーは、まだまだWWE最高位王座に絡み続ける。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)