プロボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45=米国)が9月に日本で、RIZINフェザー級を主戦場とする朝倉未来(29=トライフォース赤坂)とエキシビションマッチで対戦することが14日、発表された。

詳細日程、会場、ルールは今月中に発表される予定。17年の正式引退後、4試合目となるエキシビションマッチとなる。過去3戦を振り返りながら、メイウェザー攻略の糸口を探る。

   ◇   ◇   ◇

ヘッドギアを装着しないボクシングのスパーリング形式というエキシビションマッチの新分野イベント。自ら考案したと主張するメイウェザーは相手によってパターンを変えつつも、現役時代の「打たせずに打つ」スタイルを貫き、イベントを成功させてきた。過去3戦を振り返りながらエキシビションマッチ仕様メイウェザーの攻略ポイントをチェックしてみる。

<1>那須川天心戦(18年12月31日=さいたまスーパーアリーナ)身長173センチのメイウェザーが同165センチの那須川にヒヤリとさせられた。スピード感あふれる左ストレートが顔面をかすめるとリラックスした表情と動きが一変。引退直前はウエルター級(66・6キロ)だったメイウェザーに対し、那須川はRISEフェザー級(57・15キロ)。ボクシングの階級で言えば4階級下となるため、体格差を生かした圧力をかけて距離を詰め、左フックなどでダウンを奪ってみせた。

<2>ローガン・ポール戦(21年6月6日=米マイアミ・ハードロック・スタジアム)人気ユーチューバーでプロボクサーのポールは身長188センチでクルーザー級(90・72キロ)が主戦場。メイウェザーにとって5階級上の相手だったが、体格差の不安は杞憂(きゆう)に終わった。ポールがボクサーらしい右ストレートを打てないと分かると、自らの距離を保って強烈な左右両フックも堅いガードやタイミングで回避。判定なしのルールのために最終8回まで戦い切ろうとクリンチしてきたポールに合わせて戦った。会場からはブーイングが出たものの、終始笑顔だった。

<3>ドン・ムーア戦(22年5月21日=UAEアブダビ・エティハド・アリーナ)42歳のムーアは16年に引退した19戦無敗の元ボクサー。メイウェザーの叔父ロジャー氏のもとで現役を続け、メイウェザーの練習パートナーでもあった間柄。体格はほぼ同じで、メイウェザーは身長178センチのムーアとの距離感をすぐつかみ、ロープに追い込んで連打する展開を続けた。6回終了後にはラウンドガールの持つラウンドボードを持ってリングを歩くパフォーマンスとダンスも披露。最終8回、左ボディーでダウンも奪った。判定なしも、内容は完勝だった。

 ◇   ◇   ◇

今回、エキシビション4戦目の対戦相手となる朝倉はRIZINフェザー級(66キロ)が主戦場。身長177センチでムーア戦と同様、ほぼ同じ体格、ウエートでの対戦になりそうだ。過去3戦でただ1度、ヒヤリとさせられたのは那須川戦のスピード感ある左拳。メイウェザーにとって那須川戦以来となるサウスポーとの対戦でもある。

朝倉が左ストレートのスピードを上げ、狙いどころを磨いていけば、活路があるのではないかとみる。45歳となったメイウェザーの動体視力の低下もあるだろう。ボクシングのスキル、経験で百戦錬磨のメイウェザーにかなわないが、現在未定の決着ルールに関係なく、いかにパンチを当てることができるかで観客や視聴者は勝敗を判断するだろう。

朝倉が左拳のスピード、的中率を上げることが大きなカギになると見ている。そういった想像を膨らませながら9月を待つのも面白い。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)