白鵬が、史上最多1047勝に王手をかけた。11日目は御嶽海戦。その後の対戦は通例ならば玉鷲、高安、豪栄道、日馬富士の順。新記録の相手は恐らく、この中から生まれるだろう。

 魁皇が千代の富士と並ぶ1045勝目を挙げ、新記録となる1046勝、そして最後の1047勝で終えたのは11年名古屋だった。新記録の相手となったのは元関脇旭天鵬の友綱親方。左四つから寄り切られた。「おれかぁ…と思った。当時はかなり嫌だった。負けた映像がずっと使われるから」。ただ、今となっては「その時代にいたという、いい思い出。当たりたくても、上位にいないと当たれないしね」と振り返った。

 最後の白星の相手は安美錦だった。立ち合いから激しい攻防の末、互いに上手が取れない左四つに。俵の前では懸命に粘った。29秒9の熱戦の末に寄り倒されたが「長い相撲で、互いに立てなかったのを覚えているよ」。魁皇に手を差し伸べられて、体を起こした。

 「最後の白星」という予感はあったという。翌年5月の引退披露宴では1047を忘れないように写真も撮った。「何でも名前が残ればいいかな」と笑った。

 「1047」は通過点に思える白鵬の記録。今度は誰が、そうした思いを抱くのだろうか。【今村健人】