料理人の神田川俊郎さん(80)が、公私ともにさみしい思いをしている。春場所は例年、向正面の溜まり席などで観戦してきた。「もう40年以上になります。大阪人として残念でさみしい。今年も毎日行く予定でした」と残念がる。大阪の「顔」だが、無観客で開催される今年はテレビ画面に映らない。

日本料理店「神田川本店」など、大阪・キタに3店舗を構える。去年は遠藤らが来店した。「特別な肉を用意したら、ペロッと3枚食べてた。白鵬もかわいがっているけど、今年はこられない」。日本相撲協会は新型コロナウイルス感染予防のため、協会員に外出を控えるように通達している。「ある親方からは電話がかかってきて『今年はだめです。外に出て見つかったら怒られてしまう』と言ってました。本当なら、楽しくおいしいものを食べて、元気にやって欲しいんだけどね。新地には誰もきてくれません」(神田川さん)。

自らの店舗だけでなく、大阪の繁華街から人が減ったことも悔やんでいる。「ミナミもキタも人がいない。にぎやかさがない」。来年こそは、本場所ともども、大阪の街をあげて盛り上がりたい。【佐々木一郎】